30代で「発達障害」と診断された男性。職場で申告した結果は…
「自己申告には慎重になったほうがいい」
「これがなかなかやりづらかったですね……。一般的に知られている発達障害の定義や偏見で自分を計られるようになるんですよ。
マルチタスクが苦手だからという理由で仕事を振らなくなったり、空気が読めないからという理由で大事な打ち合わせに参加させてもらえないこともありました」
本人が経験してみて思ったのは、「職場への自己申告には慎重になったほうがいい」ということ。「申告するとしても、仕事で成果を出すなどしっかりした信頼関係を築いてからではないでしょうか」と言います。
「そうでないと自分がそんなつもりじゃなくても“甘え”と捉えられることも多いし、自分自身甘える傾向が強くなりますから」
治療に臨む上で心がけるべきこと
職場での特別扱いにやりづらさを感じながらも、診断を受けることでメリットもあるようです。
「自分の行動とか考え方を客観視できますよね。自分はこう思うけど、相手はこう思うだろうなと予測して、感覚のズレを自分の中で調整するイメージでしょうか。何か発言する前にもワンクッションを置くようになります。僕の場合だと普段の発言は自己中心的な部分を匂わせがちなので、よく考えた上で発言するようにしています」
また石田さんは服薬治療の効果についてこのように語ります。
「薬(コンサータ)を飲むことによって、これまで慢性的に感じていた眠気や気怠さが一切なくなりました。仕事への集中力は増しますし、読書にしても映画にしても内容が頭に入りやすくなります。以前は人の話を聞いていないと注意されることが多かったけど、そういうことも言われなくなりました」
同じ悩みをずっと抱え込んでしまうことも
服薬により、以前のようなやりづらさは解消されたようですが、同時に注意も必要のようです。
「メリット・デメリットにしても本来の自分でなくなるのは確実です。食欲減退、頭痛、動悸といった副作用に加えて、集中力が上がる分、同じ悩みをずっと抱え込んでしまうことがあります。
主治医によってはやたら投薬や薬の種類を増やすところがあるらしいですけど、医者の言葉を鵜呑みにするのではなくて、投薬による自分の変化を観察した上で、これからどうすべきか主体的に決める必要があると僕は考えています」
薬による作用には個人差があると思われますが、必ずしもメリットだけではないと感じているようです。