もし現代に「恐竜の飼育員」がいたら…直面する甘くない現実<マンガ>
現代の江の島を舞台に、リアルすぎる恐竜描写の漫画『ディノサン』。著者の木下いたるさん(@kurinosukeboy)は高校卒業し、単身渡米、その後、パラオで飲食店の立ち上げスタッフとして勤務。日本に帰国後、映画館で働くかたわら、漫画家を目指し30歳目前デビューという異色の経歴を持っている。
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そして、本作がデビュー2作目の連載となるが、前作『ギガントを撃て』(講談社)に続いて再び恐竜を題材にするほど筋金入りの恐竜好きだ。今回、前出『ディノサン』を一部掲載するとともに、木下いたるさん本人にも、当時の苦労話や漫画家デビューのきっかけなどを聞いてみた。インタビュー前後編の前編。
渡米してハリウッド流の仕事を目撃
――高校卒業して、すぐなぜ海外進出しようと思ったのですか?
木下いたる(以下、木下):あんまりかっこいい理由ではないんです(笑)。昔から絵を描くのが好きで、高校は美術系の学校に通っていたのですが、卒業を控えても特に美大に行きたいとかもなく、やりたいことがなくてふわふわしていたんです。それを見かねた親が語学学校のパンフレットを持ってきてくれて……。ちょうど、当時映画が大好きだったので、映画勉強したい! するならやはりハリウッドだ! という安直な考えで渡米しました(笑)。
――「映画=ハリウッド」で渡米はすごい行動力ですね。
木下:ですが、実際アメリカにいったものの、案の定映画の仕事につくことは簡単な事ではなくて……。どうしたらいいのか悩んだ末、とりあえず実際働いている方の話を聞いてみようと、ハリウッドの第一線で活躍されてる特殊メイクアップアーティストのAKIHITOさんや、当時ピクサーに勤めていた堤大介さんに連絡をとり、お会いして話を聞かせていただいたりしました。
話を聞いたあと、自分は“映画の仕事をしたい”とは思っていたけど、実際には何をやりたいか漠然としていることに気づきました。そして、ちゃんと“ここが好き”と明確に言えるものを仕事にしたほうがいいと考える様になったんです。
実力不足で心がすさんだ時期も
――そこで、「漫画家になる」という選択肢が?
木下:そうです。その時期、すでに漫画も描き出していて、(苦しみながらも)面白みを感じていた頃だったので、漫画家に頭がシフトチェンジしていった感じです。ただ、映画に対する愛も冷めてたわけではなかったので、紙とペンさえあれば自分一人で映画だって撮れるのでは? という思いも強かったです。
なので正直なところ、今でもマンガと映画を区別しているというよりは混ざり合っていて、自分ではどちらも作っているという感覚です。いつか自分のマンガが映画化されることがずっと夢です。
――帰国後、日本でいざ漫画家を目指そう! となって、大変だったことは?
木下:漫画賞はいくつかいただけたものの、実力不足でなかなか連載まで辿り着かなかったことです。ボツとコンペ落ちの繰り返す日々だし、食い扶持を繋ぐために働きながら描かないといけないしで、どんどん心がすさんでいった記憶はあります(笑)。