「歌わないカラオケ」って?JOYSOUNDの新たな試み
飲み会や宴会の2次会は、カラオケに行くのがサラリーマンのお決まりだろう。しかし今、カラオケ業界は変革の時を迎えている。
最盛期を迎えていた頃、主要なカラオケ機器メーカーは15社ほど存在していたが、時代が進むにつれて経営統合を繰り返し、今では第一興商の「DAM」と、エクシングの「JOYSOUND」2社のみとなった。
CDが売れず、また、カラオケルームそのものの在り方も大きく変化してきており、最近では従来の、従来の「歌う」ために利用するカラオケとは異なる目的で訪れるユーザーも増えているという。
今回は、1992年に業界初の通信カラオケ「JOYSOUND」を世に出し、市場を牽引してきた株式会社エクシングのエンタテイメントイノベーション室 部長 伊藤智也氏に、カラオケ業界を取り巻く市場動向について話を伺った。
「カラオケの場」利用は多種多様
まず、カラオケ市場についてだが、ここ数年間のカラオケ参加人口及びカラオケルーム数は横ばい状態であるという。しかし、従来のビジネスモデルでの成長は難しいそうだ。
「若者の“カラオケ離れ”は進んでいないものの、人口減少による頭打ちは避けられない。そんななかでカラオケ業界をどう成長させていくか求められています。
カラオケに訪れるユーザーを対象にしたアンケートを実施したところ、歌うこと以外の『観る』目的で利用されていることがわかってきました。歌手の本人映像やライブDVDなど映像視聴のニーズが高まっていることから、カラオケルームに新たな価値創出ができるのではと考えました」(伊藤氏、以下同)
カラオケルームという場は、会社のリモートワークの作業に利用したり、営業マンがテレアポの場として活用したりと多彩な使い方ができる。また、MV(ミュージックビデオ)を見ながらのダンスや楽器演奏など趣味の練習場にも利用可能だ。
「カラオケならではの自由度の高さは、歌うだけではないプライベートな空間を提供できます。最近では、好きなアーティストのDVDやゲームを持ち込んでプレイするなど、多種多様な目的でカラオケの場が使われています」
「歌う」から「観る」コンテンツに変化
近年では音楽ライブやコンサートといったライブ市場の「コト消費」が伸長しており、ライブ・ビューイング市場においては、映画館の場合、興行収入の約1割を占めるまでに成長しているという。
カラオケ利用の常識である「歌う」から「観る」コンテンツへ。アーティストによるライブのアーカイブ映像やリアルタイムにライブ・ビューイングなどを行うことで、新たな価値提供ができるのではないか。
そう考えた末にできたのが、通信カラオケの最新機種「JOYSOUND MAX GO」の発売と共に開始した、新しい映像視聴サービス「みるハコ」だ。