小田急「通勤ロマンスカー」が人気。本厚木行きに乗ってみた
小田急電鉄(以下、小田急)の特急ロマンスカーは、年間1000万人以上が利用しており、観光、ショッピング、ビジネスなど需要が高い。沿線にお住まいの方にとっては、“生活の一部”だろう。
“通勤ロマンスカー”の姿を見るべく、あえて新宿始発ではない列車に乗ってみることにしよう。
発車3時間以上前なのに残席僅少
今回乗車するのは、特急ロマンスカー〈メトロホームウェイ41号〉本厚木行き。東京メトロ千代田線北千住を18時13分に発車する。15時前に改札外の特急券売機を操作すると、残席僅少を示す△に目がテンになってしまう。それだけ需要が高い表れといえる。
一方、隣接の東武鉄道伊勢崎線北千住駅の特急残席状況を確認すると、すべて○。こちらは乗車直前に特急券を購入する乗客が多いためだ(注:土休の日光線特急は、事前に特急券を購入しないと満席になる列車もある)。また、沿線の人口密度が異なることも影響しているようだ。
発車1時間前になると、千代田線ホームでも当該列車の特急券が入線まで発売される。幸い、特急ロマンスカー〈メトロホームウェイ41号〉本厚木行きの特急券が発売されていた。ちなみに、特急ロマンスカーは千代田線内のみの乗車ができない。
北千住発車時はガラガラ
準急本厚木行き発車後の18時11分、1番線に特急ロマンスカー〈メトロホームウェイ41号〉本厚木行きが入線。1・4・5・7・8・9号車の乗降用ドアが開き、そのほかは開かない。車掌が巡回しない代わりに、代々木上原まで東京メトロのサービスマネージャーが2人乗務しており、座席の確認などを行なう。
定刻より1分遅れの18時14分に発車。車内の自動放送は全区間“小田急声”で案内する。千代田線綾瀬―代々木上原間は、2018年3月24日よりATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)化されたが、乗車している小田急60000形MSE(「Multi Super Express」の略称)はその対象外となり、従来通りの“手動運転”である。
60000形MSEは2008年にデビュー。岡部憲明アーキテクチャーネットワークが手掛けた第2弾の特急形電車だ。50000形VSE(「Vault Super Express」の略)をベースに、地下鉄直通、途中駅の分割併合、ビジネス、観光の両面に対応した。2012年から特急ロマンスカー〈あさぎり〉(現・〈ふじさん〉)を担い、JR東海にも直通している。汎用性に優れており、使い勝手が良い。
地下トンネル内は車内の灯りが煌々(こうこう)と輝き、非日常の世界へと誘う。特急形電車として充分な設備を有しているが、寒い季節なのに自販機がすべて冷たい飲み物しか用意していないのが惜しい(注:取材日は2019年11月29日)。