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斎藤工、海外の巨匠に学んだ「74億人に向けて日本映画を作る」方法

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 日本とシンガポールを舞台に、家族の絆を描いた話題作『家族のレシピ』。本作で主演を務めた斎藤工さんは、初タッグを組んだシンガポールが誇る巨匠エリック・クー監督によって、俳優としても映画監督としても新境地を切り開いています。

映画

斎藤工さん×エリック・クー監督

 前回はキャスティングや撮影現場での秘話についてお伺いしましたが、今回は映画に対する思いや若い世代へ伝えたいアドバイスについて語ってもらいました。

いまでも本当の家族のように思っている

――監督は、斎藤さんのことを監督としても信頼しているとのことですが、映画監督としての斎藤さんをどのように見ていますか?

エリック・クー監督(以下、クー監督):僕は役者としてだけでなく、工の監督としての才能も認めているんだ。彼の作品を観たときには本当に驚いたよ。だからこそ、積極的に彼の映画作りを支援したいと思って、僕が携わったHBOアジアのオムニバスホラードラマ「FOLKLORE」では、エピソードのひとつをお願いしたんだ。

 それから、彼の素晴らしいところは、言葉や周りにある壁をなくしてしまうところと何よりも魂が優しいところ。シンガポールのスタッフも工の人間性に魅了されて、みんなが恋に落ちたという感じだったよ(笑)。だから、いまでも彼らは工のことを本当の家族だと思っているんだ。

――これまで海外で幅広く活躍されているクー監督と海外での活動も積極的に行っている斎藤さんは共通するところもあると思いますが、監督が今後の斎藤さんに期待していることはありますか?

クー監督:工は監督としても、すごく成功すると思うよ。「共通するところがある」と言ってもらったけれど、彼は役者と監督という2つの才能を持っているわけで、僕は役者としてはまったくダメだから、工のほうが僕よりも上を行っているということになるんじゃないかな(笑)。

斎藤工にとってクー監督との出会いは?

斎藤

斎藤工さん

――では、斎藤さんにとってクー監督との出会いが自分にもたらしたものはどんなことだと感じていますか?

斎藤工(以下、斎藤):僕は変則的に映画を作る人間なので、出会いがすべて。そういう意味でも、エリックは俳優としても、フィルムメイカーとしても僕の新たな扉を開いてくれた人だと思っています。彼を見ていて感じたのは、映画を作るにあたって、自分の足元をもっと見つめ直さないといけないなということ。

 海外に対する憧れから、外にばかり意識が向かったり、自分にないものを要素として足してしまいがちですが、そうではないと気が付きました。

 つまり、よくも悪くも自分が過ごしてきた時間が作品に宿るものであり、それこそがほかの誰にもないオリジナル。僕はエリックから、ファイティングポーズの構え方みたいなものを習っているところだと思います。

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