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斎藤工、海外の巨匠に学んだ「74億人に向けて日本映画を作る」方法

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もっと世界の人に向けて作品を作るべき

――では、映画監督として学んだものはどのようなことですか?

斎藤:僕が一番学んだと思うのは、映画の発展の仕方です。というのも、いまの日本映画というのは、大半が国内で利益を得ようとし、損をしないような展開が基本になっています。

 ただ、ほかの国では海外でもセールスをすることが当たり前なので。この作品でいうと、ベルリン国際映画祭に出品した時点で、40か国近くの国でセールスが成立しているんです。

 つまり、1億数千万人の日本人に向けて作っているのか、それとも74億人に向けて作っているのかということ。僕はエリックと同じように後者の考え方であるべきだと感じています。

――つまり世界の人に向けて作品を作るべきであると。

斎藤:僕の監督作である『blank13』では、DVDを制作する際に英語字幕を付けましたが、それ自体が難しいことだというのも知りました。とはいえ、それによって対象が広がるということを業界としてもっと理解すべきですし、具体的な可能性を見出していくことがアジア映画の未来なんです。

 偉そうに聞こえてしまうかもしれませんが、エリックのそばにいる人間として、彼からリアルタイムで学んだことを伝えていくのも僕の責務のように感じています。

ハマっているのは「女性がメイクしている動画」

「家族のレシピ」

『家族のレシピ』

――それだけ真摯に映画と向き合っていると忙しい日々を送っていらっしゃると思いますが、ハマっていることはありますか?

斎藤:話はだいぶ変わりますが、最近は女性がメイクで鼻をつけたりしている動画を怖いもの見たさで見ています(笑)。「実は男性が女装していました」みたいなものも見てしまうんですが、男性の仕返しが始まっていますよね。

 お化粧は女性のものというのがベースにはありますが、男性も美しく化けるということで時代は変わったなと。あとは男性のなかの女性性も強くなってきているんでしょうね。

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