副業よりもむしろおすすめ!社内の給料アップ術3つのポイント
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「今より収入が5万円多かったら……」そう考えたとき、副業を選択する人も多いと思います。確かに、時給制のアルバイトなどは「週に何回、何時間働けば5万円を得られる」といった予測が簡単に立てられます。しかし、その一方で「本業が終わった後に別の職場に移動して働く」「新しいことを1から覚える」といった負担は避けられません。
例えば、アフィリエイトやYouTuberといった在宅でできる仕事もあります。しかし、レッドオーシャンの中、収益化には多くの時間や労力がかかってしまうことが予想されます。1年経っても目標の5万円に到達できないことも十分ありうるでしょう。
そのような負担やリスクを負うくらいであれば、まずは「今勤めている会社で働きながら、毎月5万円、年額60万円の給料アップを図る」ほうがいいのではないか、というのが私の考えです。
しかし、ただ「給料を上げてください」と言って「はい、わかりました」という会社は存在しません。では、どうすれば給料アップにつながるのか? 本記事では、会社に給料アップの交渉をする際に役立つポイントを紹介したいと思います。
目次
まずは会社のスタンスを理解しよう
会社によって製品やサービスは異なるものの、どの会社も目指していることは共通しています。それは「売上をアップさせること」です。つまり、あなたの提案によって会社の売上が上がるのであれば、基本的に会社として異論はないはずです。
そのため、「これから売上がアップする提案をします。もしうまくいったら、売上のうち60万円を私の年収に上乗せしてもらえませんか?」というのが提案の基本形です。
とはいっても、「売上見込みが100万円程度で60万円ください」という提案では、会社も取り分が少ないため納得しないでしょう。
では、いくらなら妥当なのか。
よく「一人前の社員になるには、自分の給与の3倍稼ぎなさい」といわれます。この背景には、会社が利益を出すためにかかるさまざまな経費を考えると、給与額分の報酬を受け取るには3倍の売上が必要といったことがあります。
そう考えると、60万円欲しい場合は180万円以上の売上が見込める提案をできれば、会社側としてもメリットがあるため、承諾される可能性が高まります。
経営者視点の具体的な提案を!
では具体的な提案内容について、掘り下げていきましょう。提案を検討する上で参考にしたいのが「アンゾフの成長マトリクス」です。

経営を学んだことがある人ならご存じだと思いますが、これは経営学者イゴール・アンゾフが提唱した企業の成長戦略を検討するためのフレームワークです。「製品」と「市場」の2軸を、「既存」と「新規」に分けた4つのセクションで表し、今後の事業をどうやって展開していくか考えていくものです。
複雑に思うかもしれませんが、要は「今ある製品(あるいは新しい製品)を今のお客様(あるいは新しいお客様)に売っていきますか?」といったシンプルな話で、難しいことはありません。マトリクス内の4つの戦略から提案の基盤を考えてみましょう。
市場浸透戦略(既存製品を既存の市場で売る)
4つのうち、まず考えるべき戦略です。「既存の製品、市場は、これまで先輩たちが散々トライしてきたし厳しいよね?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。意識してみると、売りっぱなしでアフターフォローができていない製品は意外とあるものです。
時代の変化とともにニーズも変わります。
例えば既存顧客リストを見直して、以前十分にアプローチできていない層へ再び営業をかけたら、お客様から「今、ちょうどこういう製品が欲しかったんだよ」と喜ばれる。そういうケースも実はよくあるのです。顧客を「最終購入日」「購入頻度」「購入金額」でグループ分けするRFM分析など、もともとあるデータを見直してみるだけでも、売上アップのヒントが見えてくる場合があります。
長年販売している製品、ずっと売れなくて倉庫に眠っている製品でも、売る場所や売る相手、方向性を変えることによってヒット製品に化ける可能性があります。
例えば、主にスマホケースを製造、販売している会社の場合、「実はタブレットやフィギュアを収納するケースも取り扱っているんですよ」とアピールすることで売上がアップすることがあります。お客様も営業も主力製品に注力するあまり、お客様は「スマホケースしか売っていない会社」だと思い込み、営業も「このお客様にはスマホケースしか売れない」だと思い込んでいることがあるからです。その思い込みを外せば、新たなニーズを満たせるかもしれません。
顧客の認知が不足している製品が複数あれば、まとまった売上につながる可能性は十分あります。在庫製品なら開発コストもかかりませんし、会社としても製品在庫がなくなるのはうれしいことです。在庫の保管や廃棄にかかるコスト削減と売上見込みを掛け合わせた提案をするのも一案でしょう。わざわざ新しいことをしなくても、現状のままできることはいくらでもあるのです。
新製品開発戦略(新しい製品を既存の市場で売る)
新市場開拓戦略(既存製品を新しい市場で売る)
これらは、一社員の提案で実現可能かどうかは企業によります。可能な環境であれば、アイデアを考案してみる価値はあるでしょう。例えば、SNSやアフィリエイトなどの副業に挑戦したいなら、「新市場開拓戦略」としてまずは自社の既存製品をYouTubeやブログなど新しい市場で販売することは、新規開拓につながります。
いろいろな販売手法を試して、効果測定するといったテストマーケティング的なことを業務の一環として堂々と行えるわけです。もしきちんと成果を出せれば、報酬アップのみならず、例えば新しい事業部の設立や独立起業など将来のキャリアアップにもつなげられるかもしれません。
多角化戦略(新しい製品を新しい市場で売る)
実現できればとても華々しい実績になりますが、入社3年目以内の経験値が浅い人にはおすすめできません。なぜなら、4つの中で最も難関でハイリスクな戦略だからです。たまに「入社2、3年目の社員が開発した新商品が爆発的にヒット!」といったニュースを目にしますが、それだけレアだということ。よほど素晴らしい能力を持っている、あるいは強い後ろ盾があるといったことがなければ、ヒット率は限りなく低いと考えてよいでしょう。
どんな部門にいても提案はできる!
4つの戦略をお伝えしました。まずは「市場浸透戦略」を進めていくことが、報酬アップの近道となるでしょう。そのうえで、忘れないでいただきたいことがもう1つあります。それは、あなたの報酬を上げるかどうかは、「経営陣が決定する」ということ。つまり、交渉時には経営者の視点に立ち、経営者にもメリットがある提案をしなければなりません。
よくやってしまいがちなのが、「資格取得」によっての報酬アップです。これももちろん、間違いではないのですが、ただの資格取得では会社にとってどんなメリットがもたらされるのか、わかりません。
例えば「この資格を持つ人が増えれば、事業所を1つ増やせる」「こういう資格者がいれば、A業界の案件を取りやすくなりますよ」といった売上へのつながりがわかる提案をセットで持っていくようにしましょう。
ただし、前述した経営戦略の提案における売上よりは間接的になるため、理解してもらえるまで時間がかかる可能性はあるでしょう。
大切なのは「私は違う部門だから売上に関わることは提案できない……」と逃げ腰にならないことです。以前に「会社員はフリーランスのように フリーランスは会社員のように働くべし」という記事を書きましたが、たとえ営業部門でなくても自分とは違う働き方、違う部署の仕事を知ることで、新たなビジネスのアイデアが生まれてくることもあります。「自分はできない」と思うのではなく、「自分だから提案できること」を探っていきましょう。
まとめ
今回は、今の会社で給料アップを交渉する際に知っておきたいポイントをご紹介しました。現在勤めている会社や製品、サービスが嫌いではない。ただ収入を増やしたいために副業を考えている。そんな人は、まず大きく動く前に、自社との交渉を検討してみることをおすすめしたいです。
もし交渉がうまくいかなかったとしても、「会社の売上を考え、トップ層へアイデアを提案した」ことはよい経験になります。もし将来転職することになっても、履歴書や面接で「こんなことをしました」とアピールポイントにできます。
また現在の会社としても、言われたことをただやり続ける社員より、考えて行動できる力を持つ社員のほうが評価は高くなるはず。チャレンジは決して無駄にはなりません。ぜひトライしてみてください!