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50年以上も同じモデルが飛び続けるトンデモ飛行機ボーイング737の奇跡

ビジネス

ニュージェネレーション以降

700、800、900型を第三世代またはニュージェネレーション(NG)と呼びます。この中で800型はベストセラー機です。現在もANAとJALのナローボディ機の中心機材。また世界ではLCCが機材統一で効率化を図る先駆けとなった機体で、サウスウェスト航空は約620機、ライアンエア約400機など全世界で5,160機も納入されました。この世代機からは主翼の先端にブレンドウィングレットが装着されるようになり、外見で区別ができます。

ボーイング737-800 ソラシドエアのJA803X 

ボーイング737-800 ソラシドエアのJA803X 

現在も製造が続く、次世代機のMAXシリーズはボーイングでは7~10の形式別の納入機数を公表しておらず、シリーズ計で1,161機と増えてきました。

航空機の特別な設計思想:変わらぬ美学

ボーイング737の成功の秘密は、その優れた設計と進化です。初期のモデルは比較的小型で短距離の飛行に特化していましたが、その後の改良により、中距離飛行や大型エンジンの搭載など、多くのバリエーションが生まれました。この柔軟性と多様性が、ボーイング737をエアラインのニーズに合わせてカスタマイズできることを可能にしました。

それではその初期型と最新型の進化の様子を数字で比べてみましょう。

ボーイング737の100型と最新Max10比較

デザインの変化と進化:外見の魅力を見つめながら内部を刷新

ボーイングは定期的な改良と新技術の導入に取り組んできました。これにより、燃費効率や安全性の向上が図られ、航空会社は経済的な運航と競争力の維持を実現できたのです。例えば、最新のモデルであるボーイング737 MAXでは、燃費効率の向上や先進的な航空機システムの導入が行われています。今までにないデザインのATウィングレットが翼端に装着されているのが目印です。

737 Max 10:未来への飛翔

しかしながら、大成功と思えるボーイング737も近年は困難な時期を経験してきました。2018年と2019年には、737 MAXの致命的な2件の航空事故が発生し、安全性に疑問が投げかけられました。これにより、一時的な飛行停止や改修が行われましたが、ボーイングは安全性の向上と信頼回復に向けて努力を重ね、現在では再び運航されています。

2022年ファーンボロエアショーで飛んだボーイング737-Max10

2022年ファーンボロエアショーで飛んだボーイング737-Max10

737の将来

将来展望を考えると、ボーイング737は依然として需要の高い航空機であり続けるでしょう。航空需要の増加や新航空会社の進出、退役による保有数の減少により多くのボーイング737が導入されることが予想されます。また、持続可能な航空産業の発展に向けて、より燃費効率の高いエンジンや環境に配慮した設計が求められるでしょう。

そうした進化を経ても、昔から変わらぬずんぐりした胴体形状は、左右翼下のおむすび型エンジン、翼端のウィングレットを見ればボーイング737だとわかります。

偉大な成功物語

ボーイング737は、航空史における偉大な成功物語の一つです。その長寿命と革新的な設計により、50年以上にわたって飛び続けてきました。これからもボーイング737は進化を続け、航空業界において重要な役割を果たし続けるトンデモな記録を持つ航空機なのでした。

<取材・文・撮影/北島幸司>

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航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「あびあんうぃんぐ」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram @kitajimaavianwing

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