「貸し借りをうまく作る」人間関係の重要性【一流マーケターになる方法】
日本で一番売れているヘアケアブランドLUXのブランドマネージャー、Doveのブランド責任者などを経て独立した、株式会社Brandism 代表取締役社長 木村元(キムラ・ツカサ)によるコラム。「一流のマーケターになる方法」というテーマについて、経験談をベースに語ります。
人間関係の重要性
マーケターの仕事は他部署との連携が必要ということを伝えましたが、ただ気が強いだけではいけません。
人間関係は仕事の出来不出来に関わってきます。例えば法務部などは仕事が多い部署。その膨大なタスクの中で自分の担当ブランドの優先度をあげてもらうためには、日頃から信頼されている必要があります。
飲みに行って仲良くなるというのも重要な手段の1つですし、飲みに行かなくても相手が自分の職務をリスペクトしてくれているということが分かれば、継続的に仕事が進みます。
担当者によっては、世界中のマーケターがカウンターパートとなっていることも珍しくありません。ここでいうカウンターパートとは社内外問わず一緒に仕事をする外部のチームのことを指します。その中で、日本オフィスのマーケターである〇〇さんの優先度をあげてもらうためには、高いコミュニケーション力が求められます。
海外オフィスの担当者であれば、飲みに行くという手段も通じません。それ以外でどう人間関係を構築していくかは重要なスキルとなります。
海外育ちが長い人のなかには、意思が強く、英語も流暢で、主張する力も強い方もいますが、単に仕事ができるというだけで信頼を得られるほど甘くはありません。
必要なところは譲歩して話を聞いてあげることで、貸し借りをうまく作っていかないといけません。
マーケターも戦い方は人それぞれ
マーケターの仕事のやり方に正解はありません。
譲歩の話をしましたが、例えばインド人相手の場合は強く主張しづつけることが正解だとよく言われます。私もインド人と働いた経験がありますが、「これはシステム上できない」と言われて仕事が進まないことがありました。しかし他の人に確認してみると「絶対にできるはずだが、めんどくさくて、できないと言っているだけかもしれない」と言われたんです。
結果、相手に対してできるはずだという証拠を出すだけではなく、強く言い続けることで、相手が「やるよ」と言ってくれました。国によって特性が違うと決めつけるわけではなく、あくまで個人の話にはなりますが、インドを相手にすると苦労することが多かったのは事実です。
相手の意見をふまえた上で提案することが良い場合もあれば、自分の意見を押し通してでも納得してもらうことが良い場合もある、ということです。
また、私がいたロンドン本社では、実績も経験もあり、自信に満ち溢れたマーケターが数多くいました。極東から来た私は、うまくやっていけるかなと最初は不安になりました。しかし、一緒に働いてみると、考え方や働き方に大きな違いはなく、いかに自分に自信をもって働き、主張できるかが重要だと気づきます。欧米人は日本人よりもプレゼンテーションがうまいと言われますが、実際私もそのように思うことはありました。うまく見せることも、ビジネススキルとして重要だと認識できた貴重な経験です。
試行錯誤することで自分にとってベストな道を探しましょう。特に若手の間は試行錯誤を失敗の回数を重ねることがポイントのように思います。
最初から完璧なマーケターはいないので、失敗の数が成長につながります。
継続的な成長を目指すマーケターへ
私はとあるお世話になったマーケターの1人から「マーケターにとって成長は義務」という話を聞いたことがあります。
常に自身が成長することが権利ではなく義務と思った瞬間、気を抜かずに自分のスキルを高めていこうと意識が高まりました。
継続的な成長をしていく一方で、あるとき、ブレイクスルーのような感覚が2〜3年に1回訪れます。
ブレイクスルーを言語化することは難しいのですが、例えば、営業視点で物事が考えられるようになった瞬間。
今までは営業部門に自分の提案がなかなか通らなかったのに、急にマーケティングの目と営業の目が同時に出てきて資料に落とし込めるようになり、様々なステークホルダーを巻き込んで話ができるようになった瞬間が、私にもありました。
非連続的な成長と連続的な成長を組み合わせていけば、いつか役職という形で次のポジションが得られるはずです。
ぜひみなさまにとって役に立つ内容となれば幸いです。
<TEXT/株式会社Brandism 代表取締役社長 木村 元>
あわせて読みたい