bizSPA!

低温調理機がヒントになった焼かない焼肉屋「29ON」。業界に先駆けてサブスクを取り入れ繁盛したワケ

ビジネス
株式会社29ON 代表取締役の米山 健一郎氏

株式会社29ON 代表取締役の米山 健一郎氏

競争の激しい飲食店業界において、出店の立地やメニュー開発、デリバリー対応など繁盛店を作るべく、事業者側はさまざまな工夫を凝らしている。

こうしたなか、サブスクリプション(サブスク)型飲食店の先駆けになったのが「29ON」だ。

“焼かない焼肉屋”をコンセプトにした完全予約制・会員制のお店で、低温調理した肉のコース料理を楽しめるとあって、2016年のオープン以来、人気を博している。

株式会社29ON 代表取締役の米山 健一郎氏に、飲食ビジネスにサブスクをいち早く取り入れた理由や今後の展望について話を聞いた。

ネット企業の「改善するために働く」ことに感銘を受けた

米山氏は18歳で料理の道へ進み、料理人として中華、イタリアン、洋食などさまざまな食ジャンルに携わってきた。

2002年にレインズインターナショナルへ入社後は、「牛角」や「温野菜」といった外食チェーンのメニュー開発からバイヤー、物流構築など、飲食ビジネス全般に関わり、2015年に「グルメ×IT」を掲げたマネタイズ社(現、favy)の立ち上げに参加することになる。

これまでの飲食業界とは異なり、ITを駆使して効率化を図ることやPDCAを回してブラッシュアップしていくスタイルに、米山氏は非常に感銘を受けたそうだ。

「ネット企業における仕事の仕方は、従前の飲食業界のそれと全く違って、とても刺激的だったのを覚えています。飲食業界で働いていたときは『今日は忙しいね』『先週は暇だったな』など、お店に毎日作業しにくる感覚で仕事に取り組んでいました。それがネット企業では、毎日改善するために仕事をしている感覚に変わって。『こうしたらLTVが良くなった』『こういう文言を入れたら検索されやすくなった』など、常に施策の結果を分析し、ブラッシュアップして効率化する仕事のやり方が、私にとっては新鮮に映ったんです」

飲食業界は「良い食材を使って、美味しいメニューを作れば売れる」といった「プロダクトアウト」の発想でビジネスを展開することが多い。他方、市場や来店客のニーズから業態づくりやメニュー開発を行う「マーケットイン」の発想を持って事業を推進するやり方に、米山氏は飲食ビジネスの新たな可能性を見出したのだ。

おすすめ記事