【専門家に訊く】Z世代を狂わす「めちゃめちゃ圧がかかる職場」〜いつも自分が正しい“パワハラお子ちゃま上司”への対処法〜
【専門家に聞く】心理セラピスト・心理問題研究家の大鶴和江さんにインタビュー
事例をもとに、心理セラピストで心理問題研究家の大鶴和江さんにインタビュー取材を試みた。大鶴さんはうつやパニック、トラウマ、自己愛性パーソナリティ障害、発達障害にいたるまで、心の悩みや心理的問題解決に関わる。くわしいプロフィールは、インタビューの終わりで紹介する。
自己愛の強い上司は優秀な部下を潰す?
大鶴さんは、「このZ世代の男性の上司は自己愛性パーソナリティ障害の可能性が相当に高い」と語る。
自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)の特徴は、自分に誇大なイメージを抱き、注目や称賛を常に求める。一方で、他者からのマイナスな評価に対して敏感に反応し、傷つきやすい。さらには、他者に対する共感性が薄いと言われる。
「自己愛の強すぎる上司の下につく部下はストレスで滅入り、うつ病になるケースが目立ちます。
自己愛性パーソナリティ障害の人は常に自分が正しく、常に相手が悪いと思い、いつも中心になっていないと心が落ち着かない。少しでも否定されると、冷静さを失い、パニックになる。
価値のある人を見出すと、不安で怖くて仕方がない。相手がすばらしく、皆が称えると恐れがますます強くなり、必死に潰そうとする。常に優位に立ち、相手や周囲を支配していたい。だから、自分をおびやかす部下に対して威圧し、時にすごむのです」
部下を威圧して虚勢をはり、嘘をつく
大鶴さんは、上司が経験もない対談や座談会の編集を「この仕事をやってきた!」と盛んに繰り返す心理をこう指摘する。
「本来、この場合、“私はできない”と言い、できる部下に任せる。そして、部署を動かすべきです。上司は、それができていない。
できないことがバレるのを極端に恐れる。上司がすべての仕事をできるはずはなく、そんなことも会社から求められていないはず。能力の低さや肝の小さい自分を見抜かれるのをおびえているから、部下を威圧して虚勢をはり、嘘をつく。これは自己愛性パーソナリティ障害の1つの特徴です」