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コロナ前より輸送力を伸ばしたトンデモエアライン「ボラリス」の驚愕経営とは

ビジネス

ライバルはバス

 日系ではピーチ アビエーションが自らを「空飛ぶ電車」と言って顧客をふやしたように、ボラリスは「バス スイッチング」としてバス利用者を航空機に呼び込みました。これはメキシコという国の交通システムの問題が存在しています。長距離鉄道網が発達しておらず、多くの国民は長距離をバスで移動していました。その数30億人。

 ボラリスはバスの所要時間4時間以上のマーケットを常に競合路線として探索していると宣言しています。航空市場はバス市場の3.4%でしかなく、1%の旅客が流れ込めばLCCとして経営が成り立つと試算したのです。

成功方程式がある

インディゴパートナーズ発注 エアバスA321

インディゴパートナーズが発注したエアバスA321型機 提供:エアバス

 ボラリスに出資しているのは、エアラインへの投資を専門とするインディゴパートナーズです。創設者はビル・フランケで、投資の神様ウォーレン・バフェットが航空業界に現れたと言われています。

 米国でフロンティア航空、カナダでリンクスエア、チリでジェットスマート、ハンガリーでウィズエアなど欧州と南北アメリカ大陸のエアラインに投資し、それぞれを成功に導いています。日本のように、大手エアラインのグループに属することなく、世界レベルでのエアラインの抱える問題を共有できる環境での経営が強みです。ボラリスは同じパートナー内のフロンティア航空とコードシェアをすることにより、相乗効果で利用者を増やしました。

定時性や安全性はどうでしょう

 超格安ということで注目されると、一時的には利用者の意識を変えることはできます。しかし長期的に利用者を増やしていくには別の視点が必要です。それは、安全性と定時性。安くても事故を起こす可能性が高くては利用者にはそっぽを向かれます。

 航空会社の安全性を調査するドイツのJACDECによると、2022年版航空会社安全ランキングにおいて北南米エアライン25社のうち安全性は17位とランクに入っています。また、定時性においても前出のシリウムの2022年オンタイムパフォーマンスで南米部門の8社中8位にランクインしています。

サービスレベルもランクイン

 更には、英国の航空サービス調査機関スカイトラックスのベストLCCの表彰の中で、2022年表彰の北米のベストLCCで10社中8位に選ばれていることからも、サービスの質も一定のレベルがあると推測できます。ランキング上位ではないのですが、選外のエアラインもあることからランクインの重みはあります。

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