三菱・三井・住友「財閥系不動産」“最高益更新”と“減収”で分かれた明暗
コロナ禍からV字回復
2019/3期から2022/3期の業績は次の通りで、コロナ禍の2021/3期で落ち込んだものの、翌年にはV字回復を遂げています(※2019/3期はセグメント変更前)。
【三菱地所株式会社(2019/3期~2022/3期)】
営業収益:1兆2633億円→1兆3022億円→1兆2076億円→1兆3495億円
営業利益:2292億円→2408億円→2244億円→2790億円
最終利益:1346億円→1485億円→1357億円→1552億円
売上高(コマーシャル不動産):✕→7237億円→6724億円→7606億円
売上高(住宅):✕→3855億円→3628億円→3810億円
売上高(海外):✕→1342億円→1145億円→1212億円
2020/3期は新規ビル「丸の内二重橋ビル」の収益を含むなど、規模拡大が進んだことで主要事業の収益が増えました。
宅事業は売上戸建数が減少し、前年を下回りました。海外事業は米国で開発していたオフィスビルの大規模リニューアルが完了したことで、稼働率が向上したほか、英国でのビル売却もあり増収となりました。全社では400億円近くの増収となっています。
丸の内周辺の開発を継続
翌2021/3期は主要3事業とも売上が減少し、全社売上高も約1000億円落ち込みました。
コマーシャル不動産事業は三井不動産同様にオフィス需要が堅調だったものの、丸の内周辺の商業施設やホテルがコロナ影響で一時期休館に追い込まれ、収入が減少しました。住宅事業は賃貸住宅の売却数減少が影響し、軟調だったようです。海外事業はコロナ影響というより、前年の英国でのビル売却反動で落ち込んだ形です。
2022/3期は業績が回復しました。コマーシャル不動産事業では丸の内を中心とした新規ビルの稼働が進んだほか、賃料改定によりオフィス関連の収入が増えました。消費者の行動もウィズコロナに変化したことで、商業施設関連の収入が回復し、セグメント全体で増収増益となりました。
住宅事業は分譲マンションの販売戸数が減少しましたが、単価増加により増収となりました。注文住宅も堅調だったようです。海外事業も米オフィスビルの稼働率向上で増収増益となりました。
同社の事業は丸の内を中心としたコマーシャル不動産事業の依存度が高く、東京駅周辺のオフィス需要、商業施設需要に左右されていることが分かります。なお、2023/3期は収益1兆4160億円を見込んでおり、丸の内周辺の開発を継続させ、収益を確保するとしています。