『ザ・ノンフィクション』で話題の“歌う人力車夫”に、やりがいと将来の展望を聞いた
テレビ番組を見たお客様がボロボロと号泣
――実際に鎌倉で働いて大変だと感じたことはなんですか?
マエダ:浅草や軽井沢に比べて、坂だらけなところです。登るのはもちろん、スピードを抑えながら下るのも大変なんです。体力には自信があったんですが、それまでと疲れ方が全く違いましたね。
――そんなに大変ながら、続けていけるのはなぜですか?
マエダ:毎回お客さんも違うし行き先も違う。もちろん話す内容も違うので、いつも新しい物語に出会える喜びがあるからです。
――それを感じたエピソードを教えてください。
マエダ:先日乗ってくれたある夫婦が、私が取り上げられたテレビ番組を見てくださっていたんですね。その番組では、辛い状況にいた頃の姿なども放送されていたので、こうして人力車をひいている僕を見て、ボロボロ泣いて「これからも頑張ってね!」と激励してくれたんです。諦めないで頑張って来たことで、こうやって誰かを感動させられたのが、本当に嬉しかったです。
いずれはハワイで人力車を引きたい
――歌と人力車に共通するものはありますか?
マエダ:歌は、聞いてくれる人がいないと成り立たないと思っています。だから、「歌で感動を与えなくてはいけない」という信念で18歳から音楽に向きあってきました。人力車も、乗っていただいた人たちにどれだけ感動を与えられるかだと思うので、これまで音楽に対して突き詰めて来た部分が、生きていると思います。
――人力車と音楽という武器をもって、将来的にやりたいことはありますか?
マエダ:人力車で独立したいです。もともと海外に行きたいと思っていたので、海外で人力車をやれたら楽しいなと思います。ハワイで人力車とか面白そうですよね。人力車や音楽だけにこだわらず、「僕の行動で誰かに価値を与えられること」が大事だと思っています。
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数多いる人力車夫の中でも、“歌”という武器を最大限に活かし、独自のポジションを築くマエダさん。挫折を乗り越えた彼の歌声が、今日も鎌倉の街に響いている。
<取材・文/Mr.tsubaking 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>