ミスを押しつけられ、孤立して退職…一族経営の会社に元社員が復讐するまで
親代わりの存在だった叔父が憤慨
そして、何よりも痛かったのはボーナスと給料の減額。会社の業績が悪化したわけではありませんが、誤発注を彼のミスとした課長は査定を大幅に下げてしまったのです。その結果、追われるように会社を辞めることになります。
「送別会も開かれず、最後の日に挨拶もさせてもらえませんでした。発注ミスが起こる前は、普通の同僚・上司と部下という関係でしたが、都合のいい生贄にされたんでしょうね。あの2人のことはもちろん恨みましたし、自分を見殺しにした会社や同僚も許せない気持ちでいっぱいでした」
そんな彼の話を聞き、「絶対に許さん!」と怒りを露わにしたのが同じ地域で建設会社を経営している叔父。菅沼さんは早くに父親を亡くし、親代わりといえる存在でした。叔父の会社は業種的に元職場と取引がありましたが、契約満期になった半年後、更新をしませんでした。
悪評が広がり、取引を停止する企業が続出?
さらに叔父は当時、市の商工会議所の役員。元職場が自分の甥っ子にした非道の数々を経営者仲間に伝えると、取引の停止や取引量を減らす会社が続出。元職場の悪評は地元の社長たちの間でたまちまち噂となってしまいます。
「ある日、課長から突然電話があり、『○○社長(叔父)に取り成してほしい』と頼まれました。叔父の関係を知って連絡してきたのでしょうけど、私は別会社に転職していて今さら関係のない話でした。いまだに上司面してきたのにもイラッとしたので、『あんな真似してよくそんなこと言えますね。取り成しの件はお断りします』と言って電話を切りました」
その数日後の夜、上司が今度は家に直接やって来て、再び取り成しを懇願。その際、誤発注ミスの押し付けについて謝罪を受けましたが、もう1人の当事者である先輩は同行していませんでした。
「夜、アポなしで来るのも失礼ですし、人にミスを押しつけて退社まで追い込んだ責任を尋ねても答えに窮するばかり。せめて専務や社長が一緒に来て会社として正式に謝罪し、退社に追い込んだ2人の処分と、不当に評価を下げられ収入を減らされたことへの補償などがあればまだ考えましたが、口先だけで謝るだけじゃ納得できませんよ。
そうしたことも伝えたうえで『迷惑です。2度と来ないでください』と追い返しました。会社の経営がヤバいから謝ろうって、そもそも順番が違うんですよ」