ベンチャーは人とお金で揉める…。漫画で描く「100日で心折れる」界隈の悲哀
社長として本来の仕事ができなくなる
――スタートアップの人たちに参考になるポイントもあると思いますが、どこを見るべきでしょうか?
作者A:序盤から細かい失敗エピソードを結構詰め込んでいて、たとえば会社をつくるときに株を50対50で半分にするのはやりがちですが、後にかなり大きな問題になってしまいます。あとは、主人公のウサギが、彼女の言ったことで経営戦略を決めてしまうのは当たり前ですがよくないです。本当はちゃんと検証しないといけないので、「これはいけそう」というだけでゴーサインを出すのはマズいです。
――なるほど。ほかにどんなポイントがありますか?
作者A:また、キュレーションメディアを作ろうとして、Webサービスだけでいいはずが、「アプリにしたい」と言って、iOSとAndroidの両方を作ろうとしてしまい、CTOのコアラがいなくなったら、iPhone(iOS)アプリを自分で作るハメになる。採用や経営方針を決めることなど社長として本来やるべき仕事ができなくなってしまいます。ほとんどのスタートアップは最初の事業をやっていません。成長の芽があるところにピボット(方向転換)していくので、その判断ができなくなってしまいます。
「面白い」と言ってもらえるのはうれしい
――創業メンバー同士のいざこざを描かれていました。
作者A:それと、ウサギはちゃんと契約を交わしていましたが、「創業者間の退職時の株式に関する契約」をちゃんと交わすのは大事です。大株主が社外にいるのも経営に意思決定に影響を与えてしまいますから。
――最後に、一言お願いします。
作者A:たまたま知り合いがこの漫画を教えてきたり、肌感覚ですが、スタートアップ界隈で話題になったりしている気がします。細かい失敗に触れてくれたり、読者に「面白い」と言ってもらえるのはうれしいです。今後は、スタートアップに興味のある方や、すでに界隈にいる人たちに読んでもらいたいですね。
<TEXT/シルバー井荻>