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<漫画>推しのアイドルの肌が荒れた。当事者にしか描けない漫画とは

暮らし

賛否両論があって当たり前

推しの肌が荒れた

『推しの肌が荒れた』 (C)もぐこん/新潮社

――「肌」や「アトピー」にフォーカスした作品は珍しいと思いますが、なぜそこに焦点を?

もぐこん:ずっと「アトピーを題材にした作品ってあまりないな」と思っていました。生きる死ぬみたいなドラマにはなりにくいからなのかもしれません。でもそこに対して問題提起みたいな、大きな気持ちがあったわけではないんです。

 ただ、アトピーがツラくても、いろんな分野で頑張っている人たちは普通にいるじゃないですか。誰にも相談しないで、ひとりでかゆさやツラさに耐えている人も多いと思います。そういう人たちが読んで「アトピーの子が頑張ってるなー」みたいに感じられる漫画があってもいいんじゃないかなと思ったんです。

――今までにない題材だからこそ、いろいろな反響があったのでは?

もぐこん:当事者の方からは、共感や感謝のコメントもあれば、「そっとしといてください」というコメントもありました。どちらの反応もあって当たり前だと思います。でも、僕が漫画を描くことで、もともと何もなかったところにそういう「アトピーのことを考えている人がいますよ」ということを、少しでも表せているなら良かったなと思っています。

「群れからはぐれた人々」を描く理由

――アトピーに限らず、マジョリティではない登場人物や題材の漫画を描かれていますよね。

もぐこん:気付いたら、自然とそういう人たちのことを考えていましたね。美大に通っていたので、周りにも面白い生き方をしている人がたくさんいたんです。学校で教わるような価値観とは違うところに、自分の生きる道を見つけている人のことはやっぱり気になるし、描いていて面白いなと感じます。

 僕自身も漫画なんか描いちゃったりして、メジャーじゃない生き方をしているので、見ていると勇気が湧いてくるんですよね。生活していかないといけないので、歳をとるとそういう人もだんだん周りから減っていきますが。

――もぐこんさんの作品は絵も特徴的です。トーンを使わず、背景もすべて手で描かれていますよね。

もぐこん:雑さを取りつくろうために描き込んでいるだけなんです。美大は絵が上手い人だらけの場所だったので、自分の絵はコンプレックスでした。自分でも自分の下手さが分かるというか。それでも「下手なりに良さを出さなきゃ」という気持ちはあって。上手い下手とは関係ないところでどうやって勝負するか考えたときに、今の絵柄になったのかなと思います。

――インパクトがあって一度見たら忘れられません。どのように試行錯誤されたのですか?

もぐこん:憧れの人の真似をするところから始めました。だから、最初から自分の「オリジナル」だったとかではなくて、いろんな人の影響を受けてごっちゃになった結果という気がしています。強いて言えば、上手い人を真似きれなかったところが、そう見えているのかもしれませんね。

推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~

推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~

1枚の絵をきっかけに運命が変わった二人の少女の物語「推しの肌が荒れた」など、発表するごとに話題となった作品を厳選収録

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