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“ブライダル最大手”の創業会長に聞いた「結婚式場の次はホテル」の理由とは

ビジネス

日本に浸透していない「ブティックホテル」

 そして、T&Gは主力のウェディング事業に加え、今後はホテル事業に注力していくという。現在は渋谷・神宮前にあるTRUNK(HOTEL)のみだが、2023年には渋谷・富ヶ谷で開業を予定しているTRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK、2027年には渋谷・道玄坂にTRUNK(HOTEL) DOGENZAKA(仮称)、神戸・三宮にEVOL HOTEL KOBE(仮称)をそれぞれ展開していく計画とのことだ。

 ブライダル業界にイノベーションを起こしてきた同社が、今度は日本のホテル業界にブティックホテル(店舗ごとに異なるコンセプトとクリエイティビティを兼ね備えた独創的なホテルのこと)市場を確立し、「2030年までにはウェディング事業と同水準の売上が立つように成長させていく」と野尻氏は意気込む。

テイクアンドギヴ・ニーズ

TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKのルーフトップバー&ラウンジ(イメージ)

「ブライダルとホテル、飲食は一対になっていることから、2003年頃にはホテル事業へ参入することは検討していました。ただ、2008年に起きたリーマンショックの影響でストップせざるを得ない状況でした。金融危機が落ち着いた頃から再び準備を重ね、2017年に渋谷へTRUNK(HOTEL) をオープンし、当初から『ソーシャライジング(自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的をもって生活すること)』をコンセプトに掲げて運営しています。

 事業戦略の中核にCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)を据えたこと、またクリエイティブに投資し、チームを内製化してきたことで、TRUNK(HOTEL) のホスピタリティやクリエイティビティ、デザインなどが海外でも高い評価を受け、数々の世界的なホテルアワードも受賞することができました」

コンテンツ企画力を武器に事業展開

テイクアンドギヴ・ニーズ

T&Gのホテル事業では「エッジー」と「ディスラプティブ」の価値観を持つ層をターゲットに出店していくそうだ(同社資料より)

 こうした成功事例はもとより、グローバルでトレンドになっている独立系のオーナー経営が主体のブティックホテルがまだ日本で浸透していないこと、TRUNK(HOTEL)の強みである地域に根ざし、皆でホテルを作っていく“ウィキペディアモデル(共創モデル)”があることから、競争優位性に優れているという。

「ファンドとパートナーシップを結んだことで、ホテル事業に力を入れていく土壌が整いました。当社は運営受託をメインに、神宮前のTRUNK(HOTEL)での経験やノウハウに加えて、ウェディング事業で培ったプロデュース力やコンテンツ企画力なども結集させながら事業展開していく予定です。新たな市場を開拓し、ホテル業界に新たな変革を起こせるよう、尽力したいと考えています」

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