「豆柴の大群」仕掛け人たちが語る、自由を勝ち取るための仕事術
やりたいことをやり「抜く」ために
――やりたいこと、好きなことをやり「抜く」ために必要なことは何でしょうか。
渡辺:「レペゼン地球」(5人組音楽グループ。2020年12月解散、現「Repezen Foxx」)のDJ社長が、解散前に公開した動画で、〈やりたいことをやるということは、やりたくないことをしっかりやる〉っていう意味合いのことを言っていたんです。
やりたいことをやるためには、その途中でやりたくないことが出てくるっていう話なんだと思うんですよ。何か企画を通さないといけない時、本当はしたくないことをやらなきゃいけない、っていう瞬間は絶対にある。やりたくないことをやるっていうのが、結局やりたいことへの道に続いていて、「やり抜く」ことに繋がるのかなと思うんです。
もちろん、やりたくないことをやらない選択肢だってある。ただ僕の場合、“やりたくないことがあるからこれはいいや”ってなったら、それは俺が本当にやりたいことじゃなかったんだなっていう認識ですね。
藤井:僕はやりたくないことが多いほうなので……(笑)。
ただ純粋に、やりたいことをやり抜くという点でいえば、ちょっとした圧に僕は屈しなかったほうだとは思いますね。例えば数字(視聴率)がとれなかったら“ちょい怒られ”があるわけですけど、そういうものにはあまり屈しなかったほうです。反発するわけじゃないですけど、だましだまし(笑)。表面上屈しなきゃいけない時もあるけど、心のなかでは、曲げないものがあるとは思いますね。
<取材・文/吉河未布 撮影/山田耕司>
【藤井健太郎】
テレビプロデューサー、演出家。1980年生まれ、東京都出身。立教大学卒業後、2003年TBSに入社。『リンカーン』『ひみつの嵐ちゃん!』などのディレクターを経て、『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』などを演出・プロデュース。現在は『水曜日のダウンタウン』『クイズ☆正解は一年後』『オールスター後夜祭』などの演出を手がけている。著書に、『悪意とこだわりの演出術』(双葉社)がある。
【渡辺淳之介】
WACK代表取締役、音楽プロデューサー。1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、デートピアを経て、つばさプラス(現つばさレコーズ)に入社。BiSやthis is not a businessなどのプロデュースを担当。その後、独立し現職。WACKには、BiSH、EMPiRE、 BiS、豆柴の大群、GANG PARADE、ASP、WAggなどが所属している。作詞家としてのクレジット表記は「JxSxK」。アパレルブランド「NEGLECT ADULT PATiENTS」のデザイナーとしての顔も持つ。