千鳥×佐久間Pで話題Netflix『トークサバイバー』。先行の“笑わせ合いバトル”と何が違うのか
「火薬の量がバラエティじゃねぇ!」
この無駄ともいえるお金のかけ方が佐久間宣行プロデュースらしい。佐久間氏は、『ゴッドタン』の「マジ歌選手権」でもただ芸人が歌を唄うだけにとどまらず、日本武道館でコンサートを行ったり、派手な演出をすることで見るものをスペシャルな気持ちにする。
『トークサバイバー』の場合は逆で、モニタリングするノブが「爆破!? 火薬の量がバラエティじゃねぇ!」「間宮じゃ! マジ芝居やん!」「ひとりさんだけ『半沢直樹』の芝居してる」とツッコミを入れることで、豪華なドラマを笑いにする。
話自体はミステリー風の学園ヤンキーものだ。しかし、ストーリーが進むに連れて思いもよらない方向にぶっ飛び出す。通常のドラマでは味わえない超展開に、ノブのツッコミが刺さる。最終的には強引に辻褄を合わせてくることで笑いになり、また、細かく張られていた伏線もバカらしく見えてくるのだ。
『すべらない話』との違い
『すべらない話』もお題なしでとにかく面白い話をするガチガチのお笑い番組だが、『トークサバイバー』はそれとも趣を異にする。ドラマのシリアスなシーンの最中、豪華役者陣から「本当に傷ついた経験あんのかよ!?」「みんなはそんな簡単に秘密を打ち明けられるの!?」などと、半ば無茶振りのような形でトークテーマが出される。その瞬間、ドラマとは別の緊張が走り、芸人たちはフリートークの形式でエピソードを披露し始める。
フリートークになってもあくまでドラマとして、芸人たちは演じる役柄のまましゃべる。『すべらない話』のようにバリバリに仕上がったトークを披露するのではなく、雰囲気のあるBGMのなか、「この前さ……」と役のまましゃべり出すのだ。この妙な緊張感が笑いを誘ってくる。
もちろんドラマとしてはシリアスな場面だ。話を聞く他の芸人たちも無防備に笑ってはいけない。バラエティとは一味違った緊張感で展開されるエピソードトークに、ツッコミを入れるでもなく、ただ下を向いて堪える姿は「笑ってはいけない」シリーズや『ドキュメンタル』で見たあの光景だ。脇を固める役者たちも一緒で、ポーカーフェイスを保とうとする間宮祥太朗も、まったく堪えきれていない髙橋ひかるも愛らしい。