ロシア当局はSNSやブログを監視…在外ロシア人が「プーチン批判」を控える背景
ロシアによるウクライナ侵攻に抗議するデモが、世界各地に広がりをみせている。日本でも3月5日午後、東京・渋谷駅周辺に、即時停戦を願う約4000人が結集。またロシア大使館前をはじめ、全国各地で連日抗議活動が行われている。
在外ロシア人でも声を上げるのが難しい
デモには在日ウクライナ人が多いが、なかには、祖国の暴挙に心を痛めるロシア人の姿も……。
渋谷でデモに参加していた来日9年目のロシア人女性は「すべてのロシア人がこの戦争を支持しているわけではないと示すために来た」と話す。だが、声をかけた他のロシア人たちは、記事がネットに上がればロシア当局からマークされてしまうと取材拒否。
実は今回、Twitter上でプーチン批判をしていた在日ロシア人に取材を申し込んだが、10人に断られた経緯がある。後にプーチン批判のツイートを削除するアカウントも多く、ロシア当局の監視体制を恐れている様子がうかがえる。
海外のニュースであっても監視される恐れが
フランス在住のロシア人ジャーナリスト・アン氏(仮名・34歳)は、ロシア人がプーチン批判を恐れる理由を説明する。
「政権批判は以前から危険でしたが、監視体制の強化と厳罰化が進み、いまはさらに危険性が高まっている。そのため、在外ロシア人のセレブたちも、戦争には反対しても、プーチンを直接批判することは控えています」
海外のニュースであっても監視される恐れがあるという。
「ロシア当局はテロ対策と称して、ウェブサイトから自動的に大量のデータを収集し、SNSやブログを監視。先進国の多くが導入しているが、ロシアのような独裁国家が運用すれば、一般人にとって脅威となるのです」
海外に住んでいたとしても、プーチンを批判すればロシアでは犯罪とされてしまう。世界中のロシア人が言論の自由を奪われている状況だ。前回の記事で紹介した小原ブラス氏のようなプーチン批判は、よほどの覚悟が必要なようだ。
<取材・文/池田 潮 写真/朝日新聞 AFP=時事>