「2021年はカレーの存在感がある1年だった」牛丼チェーンからスパイスカレーまで
レトルトカレー:高価格商品に抵抗がなくなってきた?
コロナ禍で外食控えをする人が増えた分、家庭用カレー商品の売上が伸びたのも2021年の動きのひとつ。手軽に食べられるレトルトカレーは例年以上に様々なアイテムが発売されました。
旅行控えの流れから旅行気分が味わえる遠方の名店とコラボ品、ご当地を意識した商品を見かけることも多く、旅行雑誌『るるぶ』がパッケージデザインになったレトルトも登場。大手メーカーのエスビー食品からご当地カレー商品がリリースされたのも新鮮でした。
インタビュー記事に協力していただいたタイカレーのヤマモリは高級ラインの「こだわりハーブ」シリーズを新発売しましたが、同商品のような高価格アイテムが目立ったのも今年の傾向。
気鋭のメーカー「36チャンバーズ・オブ・スパイス」の製品は、平均価格が約700円にもかかわらずマニア層を中心にスマッシュヒットを連発。贅沢なレトルトを手にする人はかなり増えたようです。無印良品からジビエのカレーが誕生したり、レトルトカレーの多様化を強く感じた1年でもありました。
おうちカレー:スパイスから作る人が増加傾向
レトルトとは逆に減少傾向が続いているのがカレールウ。2021年は新しい層を取り込むべく、ハウス食品の人気ブランド“こくまろ”が「こくまろキーマカレー」を投入。エスビー食品はスパイス香るパウダーカレールウ「本挽きカレー」に力を入れるなど新しい動きがありました。
好調なのがカレー粉やスパイス類。スパイスから作るカレーは外食控えとおうち時間活用が上手くマッチし、スパイスカレーキットは今まで以上に注目を集める存在に。大手メーカーだけでなくインディーズブランドやカレー店オリジナルのものを合わせると、2021年はかなりの数のスパイスカレーキットが登場したと思われます。
キットでは物足りずスパイスを揃えてカレー作りに挑戦する人も急増。筆者はブログなどでスパイスカレーやインド料理レシピを定期的に発信していますが、レシピへのアクセス数は右肩上がり。スパイスカレー作りの関心の高さを肌で感じることになりました。
SNSに自作カレー画像が溢れたり、スパイスカレー作りが趣味だと公言する芸能人が増えたことも、新しい時代を感じる現象でしたね。
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いろいろな角度から振り返ってみましたが、2021年はカレーという食べ物が今まで以上に存在感のある1年だったのではないでしょうか。これまではマニア視点では今までも面白い動きがたくさんあったものの、メジャーなフィールドでは“古き良きカレーライス”からなかなか脱却することができませんでした。
しかし、スパイスカレーという新風が吹きはじめたことにより、ここ数年で少しずつ風向きが変わり、目に見える変化が現れたのが2021年だったと感じています。この流れが続けば2022年はさらにカレーがアツい食べ物になるはずでしょう! 来年もカレー好きにとって楽しすぎる1年になりそうですね。それでは皆さん華麗(カレー)なる良いお年を。
<TEXT/カレー研究家 スパイシー丸山>