日本エレキテル連合、“誰も傷つけない笑いに傷つく”生きづらさと「唯一無二のネタ」に迫る
独自のジャンルを作りたい
――ドラマや映画などで演技のお仕事をしたり脚本を書いたり、お笑い以外のお仕事に挑戦したい気持ちはありますか?
橋本:私は本当に演技が下手なので、それでも良いなら出させていただきたいんですけど個人的にはできないと思ってます。
中野:私は演技力をよく褒められるんですけど、演技が上手だとコントって冷めちゃうと思っているので、わざと下手くそに演じてるんです。だから、演技力を褒められるのがすごい嫌なんです。演劇風にすると世界観になっちゃうのでコント演技をしています。コントはバカにしながら冷めて見てほしいですね。
橋本:下手くそにやってるというか、私たちもともと、下手くそだよね(笑)。ドラマの撮影でも大袈裟に演じちゃって。もう私できない! と思いました。何もできないくせに存在感だけ出しちゃってね(笑)。
――やっぱり、お笑い一本というお気持ちなんですか?
中野:そういうことでもないんですよね。自分たちのジャンルが分からなくなっていて、お笑いって言うのも申し訳ないというか。
橋本:お笑いのルールが分からないので(笑)。見てるのは楽しいんですけど、自分はできないなって思います。
中野:これでもまだ尖ってるんで、もう自分たちっていうジャンルにしようと思っていますね。今、お笑いに正解があるとしたら私たちは不正解のマイノリティだと思っているんです。敷かれたレールを歩くのも嫌だしできないので、こっち側の正解になるように頑張っています。
生きづらさをネタに昇華
――2人からは生きづらさを感じますが、ネタ作りにも関係していますか?
中野・橋本:本当に生きづらいですね。
中野:ゴミの分別とか当たり前のことができないんです。プリングルスの底の缶だけ素材が違うってだけでゴミ屋敷になっちゃったり、役所から紙が届いたり。先日も保険証が変わったことに気づいていなくて、病院で使えませんでした。
以前は、そういう生きづらい人たちに焦点を当てることで救いにしているって言っていたんですけど、実のところは同族嫌悪というか。「何でそんなことができないんだよ!」と感じたことをネタにしてるんだと思います。性格が良いネタではないですね。
橋本:自分もできないけど他の人ができないのも気になる。できないことを自分でも受け入れられないから、フラストレーションも溜まるし許せない。だから、他の人にもやっちゃいます(笑)。