宅配寿司業界で一人勝ち「銀のさら」、創業社長が明かす秘訣は“怒らない経営”
「金の皿」にしようとしたが…
「『寿司衛門』の商標を後発のテイクアウト店に先に抑えられていたんです。交渉に行ったら『500万円で譲渡してもいい』と言われたのですが、当時はお金がなくて泣く泣く諦めました。仕方なく『金の皿』に変えようとしたのですが、その商標ですでに商売している会社があり、またも使えず。最終的に『銀のさら』にしました」
2000年、宅配寿司「銀のさら」に名称を変更。2001年には数々の大手飲食チェーンのフランチャイズ支援を行っていた企業と業務提携し、本格的な事業拡大に乗り出した。
「商標が取れなかったことも結果的には運が良かったんですよ。提携した企業の社長に『どうしてこんな小さな会社と提携してくれたんですか?』って聞いたら『名前が良かった。もし『寿司衛門』だったら提携していなかった』って言われてね。そういうことも影響するのかって驚きました」
怒ることをやめる決意
2013年に「ライドオン・エクスプレス」に社名変更。現在は「銀のさら」や宅配御膳「釜寅」などを展開し、総店舗数は700店以上、売上高250億円超、11期連続で増収を続けるフードデリバリー業界の巨人へと成長した。
しかし、急成長を遂げられた要因は「運が良かった」だけではないはずだ。出店攻勢で借入金が膨れ上がり、「このままでは10万年かかっても返済できない」と危機感を募らせた窮地を救ったのは発想の転換だった。
「あのままだったら借金は返せなかったでしょうね。もう普通の考えでは、何をやったって追いつかないんですよ(笑)。だから自分の中のビジネスの基準を根本から変えることにした。お金は大事だけど、あくまで幸せになるための手段であって目的ではない。
じゃあ幸せって何だ? 笑って過ごせること、怒っていない状態ですよ。怒ると生産性が落ちるし、良いアイデアも浮かばない。そうか、僕は怒ってばかりいるから、うまくいかないのかって気づいたんです。怒らないことは実はものすごく合理的なんです」