ベーシックインカムで救われるか?コロナとAI失業の“W危機”で困窮者が増加
公務員の割合が低い国・日本
政府が仕事を設けるには面倒事が多そうだが、「政府が雇用を増やすことは賛成です。例えば、保育士の方々の待遇を改善すれば雇用が増大し、待機児童のような問題が解消できるでしょう」とのことだ。
「なにより日本は世界的に見ても公務員の割合が低いため、公務員拡大は検討されるべきです。しかし、JGPは議論の余地が多く、失業して貧困状態に陥る人を救うのであれば、結局は『ベーシックインカムを導入すれば簡単だし、早くない?』と思います」
政府の価値観のアップデートが必須
ベーシックインカムを掲げる政党は出てきたものの、それほど多くはなく、議論が過熱しているとも言い難い。その背景として井上氏は政府の危機感の低さを指摘する。
「肉体労働でも自動化が進行するのは2030年ごろと話しましたが、新型コロナウィルスの登場によって貧困や失業の問題が10年近く前倒ししました。雇用状況の悪化、困窮者の増加が加速しており、従来の社会保障制度ではケアできないほど、深刻な事態に陥っている現状を政府は知らなければいけません」
さらに、その危機感の薄い要因として「現在は2世、3世の議員が多く、幼少期から恵まれた環境で育ったため、困窮者の状況を想像することが難しくなっている」と分析。
「加えて、夫婦別姓やLGBTQに理解を示す若者は多いなか、こういった新しい価値観に批判的な与党の議員がちょくちょく見られるように、『働かざるもの食うべからず』という古い価値観が根強いことが背景にあると思います」