菅野美穂、上白石萌音も演じた“将軍夫人”の生涯。気位の高い嫁との反目の果てに
明治の世でも充実した人生を
いずれにせよ、篤姫は息苦しい大奥から出て、勝海舟という男に世の中の楽しさ、男性と交際する面白さを教えてもらったと思われ、明治の世になってから、彼女は本当に充実した生を送ったのではないだろうか。
篤姫は明治十六年(一八八三)まで生きた。維新後は、諸道具の多くを側近の者たちに惜しげもなく与えてしまったので、かなり経済的には苦しかったようだが、薩摩藩が援助を申し出ても、自分は徳川の人間だからと、頑としてその申し出を受け入れなかった。
彼女は晩年、徳川家を嗣いだ家達(亀之助)の教育に情熱を捧げた。そして、家達を海外へ留学させ、立派な人物に育て上げ、この世を去ったのである。
<TEXT/歴史研究家 河合敦(@1ne15u)>