衆院選で注目「ベーシックインカム」が困窮者を救う。生活保護では不十分なワケ
ゴールキーバーとディフェンダー
「逆に、生活保護をそのままにしてベーシックインカムを導入すれば、困窮する人が減るので生活保護受給者も自然と減って行政コストが減少します。その分、受給者1人ひとりに手厚い支援ができるようにもなります。サッカーで言えば生活保護はゴールキーバーのようなものです。
しかし、今はこのキーバーが2割のボールしかキャッチできていない。そもそもキーバーをもっと鍛えるべきですが、ベーシックインカムという強力なディフェンダーを敷くことがどうしても必要なんです。そうすれば、キーパーたる生活保護もしっかりボールをキャッチできるようになるでしょう」
二重のセーフティーネットがあれば、今以上に貧困状態に陥るリスクは減らせる。コロナ危機は今なお深刻であり、すぐにでもベーシックインカムの議論が活発化してほしい。
<取材・文/望月悠木>
【井上智洋】
経済学者。駒澤大学経済学部准教授。慶應義塾大学環境情報学部卒業。IT企業勤務を経て、早稲田大学大学院経済学研究科に入学。同大学院にて博士(経済学)を取得。2017年から現職。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。著書に『人工知能と経済の未来』(文春新書)、『ヘリコプターマネー』『純粋機械化経済』(以上、日本経済新聞出版社)などがある