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最大50円で「不満」を買い取るアプリに、大手企業が注目するワケ

ビジネス

味の素AGF「Blendy」の新商品が生まれた

 実際に、不満買取センターの不満の声から新商品につなげた事例もある。

「味の素AGFさんのBlendyスティックコーヒーですが、『市場は伸びているけれど反復購買につながっていないのではないか』という課題がありました」

 これまでのスティックコーヒーは甘めで、ほっと一息できるような味わいだったが、「仕事中に飲むと頭がスッキリしないよね」との声もあったとか。

「ストックしやすく、すぐに飲めるという点でリモートやオフィスでの需要が増えています。しかし、仕事しながら飲むようなシーンでは少し甘すぎて、コーヒーの味が感じられないなどの声も多かったのです。それらの不満をもとに、Blendyさんから砂糖不使用で、ミルク少なめの豆にこだわったものを発売していただいたこともあります。さらに最近であればリモート化が進み、コーヒーに対する期待値が変わっているかもしれませんね」

社長が直面した2つのターニングポイント

不満買取

株式会社Insight Tech代表取締役社長伊藤友博氏

 これまで多くの商品開発をサポートしてきたインサイトテックだが、もともと会社名は「株式会社不満買取センター」だった。実は不満買取センターを開始したのが2012年。伊藤氏は2017年に代表取締役社長として就任している。

当初は『不満を買い取ってレポートで売る』というサービスをやっていたそうです。しかし、なかなかビジネスにならないということで、2015年のタイミングでビッグデータビジネスに移行しようとアプリ化されました。しかし、それもうまく伸びず、私が代表として参画した形です」

 就任後の2017年から利益が上がり始めたそうだが、そのなかで2つのターニングポイントがあったと伊藤氏は語る。

「私はもともとコンサルティングをやっており、マーケティングやAIの活用などをメインにしていたので、どうやってビジネスにできるのか想像できました。これまで例えば手元に1万件の不満があっても読みきれないという課題がありました。これに対し、日本語文章を解析するAIの活用により、この課題をブレイクスルーできたのです

 ビジネスに必要な客観性が担保され、速度が改善されたことがデータの価値を高めました。もうひとつは、コロナで不満の質が変わってきたことにあります。ニューノーマルと呼ばれているものが、どう生活者の不満によって作られるのかという観点で社会的な関心が高まったことです。最近はメディアに取り上げていただく機会も増えました」

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