連日話題の自民党総裁選。今さら聞けない総裁選の疑問をイチから解説
自民党総裁選はなぜ盛り上がる?
決選投票は、珍しい話ではありません。2012年に実施された自民党総裁選は、5候補が乱立したこともあって最初の投票で誰も過半数を得られませんでした。そのため、暫定1位の石破茂候補と暫定2位の安倍晋三候補による決選投票になりました。2012年の総裁選における決選投票は国会議員のみの投票となったため、安倍晋三候補が石破茂候補を逆転して総裁に選出されました。
今回の総裁選が決選投票になった場合、国会議員票が1人1票で合計383票。地方票は都道府県連が各1票で、合計47票。決選投票では、さらに国会議員票のウエイトが大きくなります。
先述したように、自民党総裁選に投票できるのは自民党の国会議員をはじめ党員・党友で約110万人超です。日本の総人口から考えると、わずかな人たちしか投票権がありません。それにもかかわらず、連日にわたって自民党総裁選関連のニュースがテレビ・新聞・インターネットのニュースを賑わせています。
有権者数が多い衆院選や参院選と比べても、自民党総裁選は異様とも思えるほど盛り上がっているように感じ、「いつもの選挙も、これぐらい盛り上げて欲しいのに……」と違和感を抱く人も少なくないでしょう。自民党総裁選は投票できる有権者は限られているのに、なぜ盛り上がるのでしょうか?
そのカラクリは、公職選挙法です。衆院選や参院選は公職選挙法が適用される選挙のため、テレビ・新聞・インターネットといった報道には一定の規制がかかります。
平等の定義ははっきりしていない
テレビや新聞が特定の候補者ばかりを取り上げてしまうと、有権者はほかの候補者を知ることができません。それは有権者の選択肢を狭めることにつながってしまいます。そうした理由から、公職選挙法は候補者全員を平等に扱うよう定めています。
しかし、平等に扱うことを定めていても、平等の定義ははっきりしていません。テレビには放送時間という制約があり、新聞には紙面というスペースの制約があります。たくさん立候補者がいると、すべての候補者を平等に扱うことは難しくなります。
テレビ・新聞は、「政党の支援がある」「過去に国会議員・知事・市長といった公職に就いている」「過去の選挙でも、それなりの票を得ている」といった独自に基準を設けます。
そして、この基準に適合した候補者は主要候補、満たしていない候補者は泡沫候補と区別。主要候補は政策や活動、インタビューなどの肉声を紹介するなど多くの時間を割きます。一方、泡沫候補は名前を読み上げて顔写真を出すだけの簡単な紹介にとどまります。