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アマゾン本社も導入、“日本式の経営”が今も注目されている理由

ビジネス

今までの常識が通用しなくなる

通勤風景

 最後に、意外に見落としがちなのが、中国や東南アジアなどこれまで安価な生産拠点として活用されてきた国の賃金が国際的に上昇しているということです。これまで、生産拠点を海外にシフトすればそれだけで製造コストが下がるという常識がありました。

 しかし、この常識はもはや通じなくなっています。当初「賃金が安い」ということで世界中の企業から生産の仕事が集まったこれらの国は、仕事が集まったことによって経済発展し、賃金が上昇し、いまや「賃金が安い」とは言えなくなりつつあります。

 その一方、日本企業は国際的に賃金が高い中で何とか生産効率を上げてきました。そこで、日本企業から高賃金でも低コストにできる経営技術を学ぶ必要があるという状況へとつながったわけです

<TEXT/慶應義塾大学商学部専任講師 岩尾俊兵>

慶應義塾大学商学部准教授。平成元年佐賀県生まれ、東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了、東京大学史上初の博士(経営学)を授与され、2021年より現職。第37回組織学会高宮賞著書部門、第22回日本生産管理学会賞理論書部門、第36回組織学会高宮賞論文部門受賞。近刊に『日本“式”経営の逆襲』(日本経済新聞出版) Twitter:@iwaoshumpei

日本“式”経営の逆襲

日本“式”経営の逆襲

コンセプト化・パッケージ化が弱かったのは日本企業だけではなく、筆者含めた研究者や、日本政府も同様である。ようするに日本の産官学全体の問題であった。この点も、現状で思いつく限りの処方箋らしきものを本書において探索していく

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