コロナでも急成長「機能性スーツ」。人気の秘密をメーカー3社に直撃
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、リモートワークをする人が増加する以前から「スーツを着なくなった」という言葉をよく耳にしたものだ。リモートワークをする人が増えれば、スーツを着て出勤しなくてもよくなるため、さらに「スーツを着ない」ようになるのかと思いきや、「機能性スーツ」という領域では売り上げが伸びているという。
「機能性スーツ」とは、各社によって定義はさまざまだが、家で洗濯ができ、自転車通勤などにも役立つストレッチ性や通気性に優れたスーツを指す。その行く末について、「アクティブワークスーツ」を販売する株式会社AOKIの広報室・飽田翔太室長、「リバーシブルワークスーツ(SOLOTEXとDotAirの2タイプ)」を販売する株式会社ワークマンの広報部・鈴木悠耶チーフ、「WWS/ワークウェアスーツ」を販売する株式会社オアシススタイルウェアの中村有沙代表の3名に話を聞いた。
人気3社が明かす「機能性スーツ」開発話
まず機能性スーツの市場規模について聞いてみると、「現在、機能性スーツ市場は1000億円規模だと考えております」(ワークマン)という見方がある一方、「5年後には2000億~3000億円規模になると予想しています。作業着スーツ(ワークマンのリバーシブルワークスーツなどが該当)という市場も、5年後には300億~500億ほどの規模になるのではないかと想定しています」(オアシススタイルウェア)という声も聞かれた。
それぞれ機能性スーツ以外に主力事業があるなか、機能性スーツを発売した一番の理由について訊ねてみると、
「服装の自由化や新生活様式の浸透により、お客様の働き方・働く場所が変化しております。スーツ=仕事着という概念をリセットし、気軽にご購入でき、シーンを選ばず自由に着られるスーツをご提供するために、“アクティブワークスーツ”を開発いたしました」(AOKI)
「多種多様な働き方がある現代において、ユニフォームも変化しています。さまざまなニーズにこたえる意味もありますが、弊社は現場作業を主にしながら、クライアントと打ち合わせがある方や、自転車通勤の方など、スーツというよりは作業をする方向けに“リバーシブルワークスーツ”を開発しました」(ワークマン)
「当初は販売目的ではなくグループ会社の水道工事業のユニフォームとして開発しました。社員からの声を受け、“そのままデートに行ける作業着”をコンセプトとし、“スーツに見える作業着”というアイデアに行き着きました。約2年の年月をかけ完成した“スーツに見える作業着”を自社で導入したところ、同業他社をはじめ様々な企業から販売希望の声をいただき、2017年12月に急遽、会社を設立。2018年3月から“WWS/ワークウェアスーツ”の販売を開始しました」(オアシススタイルウェア)
「機能性スーツ」人気は男性が圧倒も…
機能性スーツの購入者層について訊ねると、
「幅広いご年齢の方にご購入いただいております。初めてAOKIをご利用になる新規のお客様や、普段あまりスーツを着用しないお客様にもご購入いただいております」(AOKI)
「現場での指示や打ち合わせの多い現場監督、電車などでオフィスと現場を頻繁に行き来する方、ZOOM会議用に購入する会社員、マンションの管理人さん、ジャケットをカジュアルに着こなす学生」(ワークマン)
「購入者の9割近くが30代~50代。男女比は8対2。職業は現場作業からデスクワークまで多種多様。900社以上の企業が制服として導入していただいています」(オアシススタイルウェア)
という。実際に機能性スーツを購入しているのは、やはり普通のスーツ同様「仕事をしている男性」が圧倒的に多いようだ。ワークマンの客層に仕事用ではなくカジュアル用として購入する学生層がいるのは興味深い。