中国人が「北海道、対馬」で土地を買う背景。国会で法案提出の動きも
中国人による土地購入が増加
外国資本、外国人よる土地購入は、日本では1925年に施行された「外国人土地法」が政令で制限できると規定しているが、実際は規定されているだけでそれ以上の規制は実施されておらず、外国資本による自衛隊基地周辺や国境離島などの土地買収は長年問題視されてきた。が、時すでに遅しとも言われる。
例えば、北海道・稚内にある自衛隊基地周辺や長崎県対馬など、注視区域にあたる各所で中国人による土地購入が近年大幅に増加しているという。また、農林水産省が毎年発表する「外国資本による森林買収に関する調査の結果」でも、外国資本が買収した森林面積は増加の一途をたどっている。
土地購入は安全保障上懸念される上記のような場所だけに限らない。北海道や長野県のような自然な豊富な場所にある水源、スキー場や温泉などがあるリゾート施設、ゴルフ場、また都心でも防衛省など国益上重要な場所の付近など多岐に渡っている。
一定の制限は設けるべき
今後も人口減少が続き、空き家や空き地が増加すると予想され、中国人富裕層向けのサービスを強化している地元の不動産会社も少なくない。
日本は民主主義であり、外国人にも十分な自由と権利が保障されなければならない。しかし、国家機密や安全保障が関わる問題であれば話は別。国家の根幹に関わる安全保障上の必要があれば、それに一定の制限を加えるべきだろう。
中国は「一帯一路構想」に基づき、アジアやアフリカ、中南米など各国へ多額の支援を行っている。借金が返せず、スリランカやパキスタンのように、港や湾岸施設の使用権を何十年も渡している国も存在する。
人口減少が進む日本としては、土地や建物など、身近なものについても、安全保障にかかわる問題として考えておく必要があるだろう。
<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>
12