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新入社員が「酒びたりの」地方研修に。文化の違いが招いたピンチ

コラム

 学生から社会人になると、今まで経験のない状況に身を置かなければなりません。人によっては「退職」するなど深刻な事態になることも……。

工場

※イメージです(以下同じ)

 精密機器メーカーの営業マンの佐治博司さん(26歳・仮名)にとって、入社直後に行われた研修が、まさにそのケースに当てはまっており、社会人生活のなかで「どん底」だったと語ります。

鹿児島に営業研修で3か月滞在

 佐治さんは関西にある文系の大学を卒業後、2010年代の後半、本社が神戸の精密機器メーカーに就職。従業員は150人ほどの中小規模の会社でした。普段は新卒採用を行っていない会社だったので、その年の新入社員は佐治さんだけだったといいます。

 そして、入社して間もなく佐治さんには商材の理解を深めるために鹿児島の工場で3か月研修することが告げられました。

「最初は楽しみでしたね。私は京都市で生まれ育ち、大学も市内でしたので鹿児島に行ったことはありませんでした。入社したときに上司からも『休日は営業車を使ってどこでも行っていいよ』と言われていたので、鹿児島の観光地をピックアップしていました」

 入社から1か月後の5月初旬。こうして佐治さんは生まれて初めての鹿児島に飛行機で飛び立ちました。

研修1週目で気づいた「文化の違い」

工場

 工場は鹿児島市から車で1時間ほどにあり、周囲は山々と田園に囲まれていました。のんびりとした環境で研修できることに、期待が膨らむ佐治さんでしたが、研修が始まってすぐに、自分が生まれ育った環境と工場が大きく異なることに気づきました

「現場の責任者の方を含めて、みんな目が充血していて指導していただくときになんというか、お酒のにおいがするんですよね(笑)。私もお酒は好きなのですが、そんな状態で仕事をするのは考えられなかった。あとは方言のせいで口調がちょっとキツい。ちょっとした注意でも、心にグサッと刺さることはよくありました」

 実際、週に2回は開かれる佐治さんの「歓迎会」では、鹿児島の芋焼酎がメイン。とても美味しい一方、アルコール度数も強くて、飲み続けるのは苦痛にも。さらに朝5時に起きて地元企業が主催する「朝の集い」にも定期的に参加しなければならず、佐治さんには精神的負担が大きかったといいます。

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