デリヘル嬢は「演じていてツラかった」恒松祐里が感じた“生きづらさの正体”
“普通の人”を演じることが苦手
――今の課題は何でしょうか?
恒松:昔から思っていることは、個性的な役柄は演じやすいのですが、いわゆる“普通の人”を演じることが苦手なんです。普通の中にもわたしの色を出していきたいなという思いがあるので課題だと思います。最近は映画やドラマで仕草がすごく素敵な方が多いので、体の姿勢だったり目線だったりをよく考えるようにしています。
――目標にしている女優さんはいますか?
恒松:その場その場で素敵だなと思う女優さんはたくさんいるのですが、目標にしている女優さんはいないんです。ただ、最近フランス映画を観ていて、アンナ・カリーナがすごくかわいくて。ゴダール監督の『女は女である』を観たのですが、仕草や目線がチャーミングで、きれいで、佇まいも素敵でした。昔の女優さんの佇まいはすごく参考になるので、もっと研究していけたらいいなと思っています。
「自分とは違う人がいる」と受け入れること
――ご自身も、ちょっと日本人離れした雰囲気はありますよね。
恒松:(笑)。海外ドラマを観て育ったので、海外の作品はすごく好きなんです。家ではいつもWOWOWを観て育ったようなもので、地上派よりも『クリミナル・マインド』や『シャーロックホームズ』などの海外ドラマばかりが流れている家でした。おかげさまで今は『シネマスクエア』という雑誌でコラムを4年くらい連載させてもらっています。いずれは、わたしも海外ドラマに出てみたいです!
――さて、今回の映画は観ている人が自分の現況と重ね合わせそうなところもあると思いますが、同世代へ何かアドバイスするとするなら?
恒松:22歳くらいって新社会人になる歳だと思うのですが、今までとは勝手が違って、上司や自分より年上の人と関わるうえで、今までの大学のノリが通じなかったりすると思うんですけど、人を許すことや、自分とは違う人がいるってことを受け入れる力って、大切だと思うんですよね。「自分はこう!」だけだと、いろいろな人がいるから疲れちゃうと思うんです。苦手な人に当たった時は受け流す、そういう能力があれば、生きやすいのではないかって思います。
当たりの強い人がいたとして、その人の強い言葉だけをフォーカスするのではなくて、その人の人となりや「あの人は、こういう人だからそういう言葉が出るのか」って、視野を広げて考える余裕があれば、少し楽になるのでないかなって思います。
<取材・文・撮影/トキタタカシ ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken)スタイリスト/武久真理江>