大学講師の私が、コロナ禍で気づいた「人の温かみ」の重要性
コロナ禍での変化が実生活にも影響
チリに住む一人のOBは、現地では「貧富の差が激しく国民全体の感染症対策が十分ではない」と話していた。現地では、外出許可証がなければ処罰されるなどの厳しい制約が課せられている。
しかし、日本では自粛警察が話題にのぼっていたが、緊急自体宣言下でも行政による国民への強制的な締め付けは行われなかった。衛生面でも貧富の差によって条件が大きく異ることはなく、国民同士で協力し合っていたのは多くの人が薄々感じていたはずだ。
コロナ禍での変化が実生活に色々な影響を与えているのは、誰もがおそらく感じ取っていることだろう。そこで考えてみたいのは「新しい生活様式」という、今まさに直面している課題である。
現状では、結局のところ「我慢しろ」以上の何かが見えておらず、不要不急とは何かなど模索するべき点は多々ある。ただ、今後の“第二波”や“第三波”に備えるならば、上半期に味わった教訓を活かすべきだ。
上半期の教訓とは?
例えば、自分の頭でしっかり考えてみること。じつは、感染者数といっても実態をすべて表しているわけではなく、検査数や重症者数、1人の感染者が何人に感染させるのかを示す実効再生産数など、あらゆる統計を考慮しなければ現状はつかめない。
本当に現実を直視しようと思うならば、目の前の情報に流されることなく、事実と向き合ってみる姿勢が大切だ。
また、テレワーク下では移動の手間がなくなったぶん、かえって労働時間が長引く傾向にあるのが徐々に浮き彫りになってきているが、ストレスを解消しながらきちんと休むことが重要で、自粛生活を逆手に取り、公園で安全に遊ぶ方法を考えたり、好きなお取り寄せを選んでみるといった息抜きを見つけるのも必要になってくる。
冷静さを保ちつつ、人生にどのような楽しみや喜びをもたらすのか。今まさに、アフターコロナやウィズコロナに向けて考えるべきことだといえる。
<TEXT/働き方研究家 常見陽平>