2年間の海外放浪の先に「インバウンド起業家」28歳が目指すもの
――それぞれどんな人が参加するのでしょうか?
大森:単に地元の人と友達になりたいといった理由なら無料ツアーを、語学力や知識のあるガイドに本格的に案内してほしい場合は有料ツアーを選んでもらう。そんなイメージです。
――ツアー事業の拠点は渋谷ですね。なぜ渋谷なのでしょうか?
大森:僕は渋谷にある國學院大學の出身なんです。渋谷についてはよく知っているので、まずは自分が一番得意な場所で始めようと。
海外を旅するなかで芽生えた「思い」
――そもそも、なぜこの業界で起業したのでしょうか?
大森:大学を卒業して、2年くらい海外をうろうろしてたんです。カナダに留学もしたし、その後もずっと一人旅をしていました。旅の最中ずっと考えていたのが、どうしたら地元のことをもっと知れるんだろうってことでした。
――たしかに一人旅は、いろいろ心細かったり、不安になったりしますね。
大森:そしたら、地元の人と交流するのが一番なんじゃないかと。で、地元の人にガイドしてもらったり、家に泊めてもらったり、農家を手伝ったり、その土地その土地で地元の人に声をかけて、彼らの暮らしの中に積極的に入っていったらすごく面白い体験ができたんです。
帰国したのが2014年、東京オリンピックが決まったあとで、海外の人たちがすごく来ていました。彼らにも自分と同じように地元の人たちと交流してほしい、ローカルな日本の魅力を知ってもらいたい。そんな思いで始めました。
――起業するにあたり、リスクを感じたことはありませんでしたか。
大森:一切ないですね。この事業で稼げなくても、ご飯を食べるくらいなら他にも稼ぐ手段はいくらでもあるし。それに僕は、ものを持ちたくない、服も7着以上持ちたくないタイプの人間なので、生活にはお金がかからないんです。最悪、お金に困ったら、途上国とかコストのかからない国に行って新しい挑戦を始めてもいいし(笑)。
むしろ自分でやったほうがリスクは少ないと思っています。自分が代表をやっていると、トップの人たちと繋がれるんですよ。会社に入ると、会社の名前でやることになるので動きづらいけど、自分の名前だと新しい挑戦もすぐにできますし。
前を向き続ける28歳がこれから目指すもの
――いま従業員は何人くらいいるのでしょうか?
大森:社員が4人とアルバイトが15人ほどです。ありがたいことに案件が結構入ってるので、今年はかなり社員が増えそうです。
――社員を選ぶ基準はありますか?
大森:僕らは今かなり自由に事業をやってるんで、それをリスクに思わない人ですね。あとはうちで働かなくても個人で稼げちゃう人、ハングリー精神や向上心があって、自分でどんどん実力をつけていけるような人しか雇わないです。
――これからの事業の目標やビジョンはありますか?
大森:ツアー事業に関しては、いまは渋谷や大阪の難波が中心ですが、全国各地で僕らのツアーができればいいなと思っています。僕らの会社が他と一番違うのは、いろいろな公共機関と組んで事業をやることが多いという部分です。
――公共機関というと?
大森:観光協会や自治体、電鉄会社や航空会社などと組んで、オフィシャルなツアーを増やしていきたいです。同時に、僕らが抱えているボランティアガイドをどんどん有料のほうに持ってきて、全国どこでも僕らのガイドがいますというのを実現したい。
ただ、まずは都市で満足度の高いツアーを提供してリピートしてもらうこと。都会をどんどん攻めていって基盤を固めたいです。地方への拡大はそれからですね。
― 特集・ミレニアル世代の起業家たち ―
<取材・文・撮影/sarry>