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厄介者ウニが極上グルメに。三浦の海を救った意外な発見とは?

ビジネス

 将来的には規格外品として廃棄されてしまっていた三浦キャベツを買い取ることも検討されており、地域貢献になると期待されています。

「甘みが増したウニ……食べてみたい」「キャベツがウニのエサになるなんて面白い!」「ウニキャベツ、いい研究だな。アイデアの種はいろいろなところに転がっている」など、ネット上でも、驚きの組み合わせやウニの味への関心を寄せる声が多くありました。

「突拍子のないアイデアだけどやる人がいない」

研究

 臼井さんは「突拍子のないアイディアから始まったけど、実際やる人がいなかった。ただ、やってみたら面白いし、いい結果がでてきた。方法さえ見つければ、いくらでも利用できる」と語ります。そして、約2000種類の加工品を作り出しました。

 小田原の新しいグルメとして人気になっている、かます棒もそのひとつです。串刺しに加工してアメリカンドッグのように片手で食べられるかます棒は、身が柔らかいと評判ですが、これも流通に乗らない小ぶりなかますを有効利用できないかと研究を進め、考案されたものです。

 みんなが見向きもしなかったものがビジネスチャンスになる今までは捨てられていたものでも、活かし方を工夫することで貴重な資源となり、それがビジネスチャンスとなることが少なくありません。

 番組内では、そのほかにもサンゴを食べるオニヒトデをアルツハイマーの治療薬の研究開発に役立てている事例や、漁網を破る被害を与えるエチゼンクラゲを畑の肥料にするなどの事例が紹介されました。

 臼井さんは、現在は神奈川県のブランドみかん「湘南ゴールド」をウニのエサにする実験と研究をおこなっています。

マイナスから生まれる一石二鳥のアイデア

「ガイアの夜明け」 ※画像は公式サイトより
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber4/preview_20180605.html

 地元の漁業組合では、早速、キャベツウニの養殖を行っており商品化に乗り出そうとしています。地域とも連携し、海洋科学高校と共同で研究を進めたり、京急油壺マリンパークではキャベツの飼育試験や一般客に対する啓蒙活動をしたりしています。

 また、試食会を開き地域の特産品として押し出そうと働きかけています。その結果、百貨店のバイヤーも地元の食材を店舗で売り出そうと視察に訪れるなどして、このウニに対する注目は日々高まっています

 わざわざ駆除費用を計上して排除していたムラサキウニと、ゴミとして廃棄されていたキャベツを組み合わせるという、まさかの発想の転換が、ビジネスチャンスとなりました。

 私たちが普段何気なく捨ててしまっているものに注目してみると、意外なところにビジネスチャンスがあるのかもしれません。

<TEXT/湯浅肇>

写真をメインに数多くの時事ネタやマルチメディア関連の記事も執筆。常に斬新な切り口で情報発信を目指すアラサー男子

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