今だったら軽く1億円は…。江本孟紀が語る「昭和のプロ野球」伝説
故・野村克也氏の最後の著作となったのが、江本孟紀氏との共著『超一流 プロ野球大論』(徳間書店)。2人が対談形式で昨今のプロ野球界を語り尽くす内容で、随所に野村氏のボヤキと江本氏の鋭い舌鋒が炸裂している。
野村氏は数々の選手を育成し、再生させた名伯楽として知られるが、その愛弟子の江本氏は監督業に興味はないのか。かつて「ベンチがアホやから野球がでけへん」という言葉を残して現役を退いた“物申す男”は、今の日本球界をどう見ているのか。
インタビューの前編はノムさんとの思い出について語ってもらったが、後編では現在の球界について胸の内を直撃した。
「球数制限」など…
――江本さんが今の日本球界に一番物申したいことは何ですか。
江本孟紀(以下、江本):温故知新という言葉を思い出してほしいですね。数々の名選手や名監督が生まれ、綿々と続く野球界の歴史から学ぶことは多いはず。書籍では、その思いを野村さんと共に語っています。
その中で、最近話題になっている「球数制限」にも触れています。100球がメドとなっていますが、かつては200イニング投げても壊れない選手はゴロゴロいました。重要なのは「なぜ投げられたのか」ですよ。まずは、それを分析すべきなのに、時代が変わったの一言で片づけている。
高校野球に関しても「球数制限」を論じる前に、考えなければいけないのは過密な「試合日程」のはずです。話がすり替わっています。
今では9回完投するやつはアホみたいに思われる風潮すらある。絶対におかしいですよ。かつてピッチャーは9回まで投げ切って、最後のバッターを抑えて、マウンドから意気揚々と花道を帰るのが最高のステータスだった。
今のピッチャーに魅力はあるのか
江本:野村さんたちキャッチャーも、その花道をどう飾らせるかを考えてくれた。でも、今ちょっと投げるだけで、僕らの時の10倍くらいの年俸がもらえて家どころか蔵まで立つ(笑)。
年俸はともかく、僕らのもそれなりに面白い試合をしていましたよ。規定投球回数なんて屁みたいなもんで、200イニングは軽く投げていましたから。まさに肉体労働ですが、それでも一流選手はすごかった。。
今のピッチャーはもっと魅力をアピールしないと。バッターのほうは目立つ選手が残っていますが、野球全体がもっとプレーに魅力があるものを追求すべきかと思います。