公務員3人に聞いた、リアルな働きがい「年収250万円でも転職する気はない」
角が立たない言葉の選び方に苦慮
かなり面倒な案件まで押し付けられているようですが、他にどんな事例がありますか?
「道路に落書きをして問題になった子の親が『ウチの子はやってません!』と言い張るんです。二言目には『他の子ばかり贔屓されてる』と主張し、対応に困りましたね。親と関係がこじれると面倒だし、基本的に小学校は児童と6年間付き合わなくてはならないので、角が立たない言葉の選び方に苦慮します。
あと気を付けているのは、トラブルの処理を文章で残さないこと。連絡帳のやり取りもありますが、文章だと正しく伝わらなかったり、後々こじれる原因になったりするので、電話かお宅に伺って直接話しています」
トイレに行けないほどの忙しさ
ビジネスでは一般的に、言った言わないのトラブルを回避するためにメールを使いますが、まるで逆の状況に陥ってしまっています。収入の面ではどうでしょう?
「みなし残業込みで年収は300万円。普通の暮らしはできる程度の収入ですね。ただ、残業時間は青天井だし、児童のいる日中はおちおち休憩時間も取れません。児童を下校させてから、『今日1度もトイレに行ってなかった』と気づく日もあるほどです。
辞めたいと思う瞬間もあるけど、転職活動をするエネルギーも時間もないので、しばらくは続けることになると思います」
安定した雇用と昇給があるとはいえ、同世代よりも年収が少なめな3人が共通して口にしていたのは、「贅沢をしなければ、普通の暮らしはできる」というセリフ。公務員の給料は税金から捻出されているので、「足るを知る」といえば美談かもしれませんが……。
日本国憲法に「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(第15条第2項)と定められている公務員。「奉仕者」の実態は、イメージほど美しいものではないのかもしれません。
<取材・文/阿形美子>