若い非正規が、50代正社員のPC指導役に。辞めてわかったブラック企業の問題点
「ブラック企業」というワードからイメージするのは、人格を無視したパワハラを平気で行うような職場ではないでしょうか。
しかし実際には、真綿で首を締めるようにじわじわと善良な社員を苦しめるブラック企業も存在しているようです。今回、都内の出版社で働いていた田澤久良さん(仮名・25歳)に話を聞くことができました。
非正規なのに、正社員並みの働き方
「私にとって2社目でした。1社目を体を壊して辞め、何もしていなかった間に紆余曲折を経て拾ってもらったんです。親切な同僚が多くて、最初はブラックなことに全く気が付きませんでした」
けれども入社してしばらくすると、田澤さんは徐々に違和感を抱き始めたそうです。
「私は非正規社員の事務として勤務していました。経費精算や電話応対、雑誌アンケートの集計業務などのいわゆる雑務が担当でした。
しかし、求められるのは『正社員並み』の働き方。自分で率先して仕事を見つけるように言われることも多々あり、ときには事務の仕事の範疇を超えることも。当然のように残業も増えていきました」
50代の先輩社員に物を教えることも
にもかかわらず非正規社員なので給料は雀の涙だったとか……。田澤さんはだんだんやりきれない想いが募っていったようです。
「ずっと在籍していて、恐らく私の5倍の給料はもらっているであろう50代の先輩社員にパソコンでの経費精算のやり方を教えたこともありました。
本来は私が業務を教わる立場のはずなのに、『自分は一体何をしているんだろう』と虚しさを感じずにはいられませんでした」