80万円でマンションオーナー「元手なし不動産投資」の危ないカラクリ
元手なしの投資なんてできっこない
この話、月々がマイナス以外はうまくできているのですが、いくつかのリスクや事実を無視した試算となっています。
「ワンルームマンション物件概要資料」のおかしな点
・毎年かかるはずの固定資産税がなぜか無視されている
・築年数が経つと賃料は減額されていく、赤字額は拡大する
・修繕積立金は後々値上がりする可能性が高い
・変動金利のため、金利が上がって返済額が上昇する可能性がある
・空室の期間中は、ローンを自分で払わなければいけない
・35年返し終わったあとに残るのは、築45年のワンルームマンション
という感じです。そもそも「元手なし」の投資などありえないのです。
確かに、ここ数年で爆増した不動産投資書籍には「元手なしでも◯億円の資産ができた!」という事例が山ほど紹介されています。資産を強調する人々は、たいてい◯億円の資産以外に○億円の負債があるのですが……。
こうした本を読むと、彼らはとても運が良かったことがわかります。たまたま最初に買った時期が良く、金利が高くても後の値上がりが帳消しにしてくれました。
不動産相場が上がって、利回りが落ちている(不動産価格ほど賃料は上がらない)今、再現性のない手法と言い換えてもいいでしょう。
再現性があるとすれば、値段がつかないほどのボロ家を買って、ホームセンターの資材でDIYで直すなど、自分の時間を投入する方法です。
月曜から金曜日まで働いている人にはなかなか厳しいかもしれませんし、一度そうした手法が公開されると、参加者が増えて最終的には利潤が無くなる水準まで物件が値上がりします。
一昔前は競売物件が流行ったのですが、参加者が激増したことにより、現在はほとんど市場から仲介で買うのとあまり変わらなくなってしまいました。
うまい話に騙されないように
株でも不動産でもFXでもそうなのですが、残念なことに最初の種銭とタイミングが成功率の多寡を決めます。
市場経済はとても効率よくできていて、それを上回るパフォーマンスをレバレッジを効かせて得る方法など、無料どころかクオカードがもらえる不動産投資勉強会や、インターネットには公開されていないということがわかります。
資産を持っていない人にうまい話は絶対に来ません。必ず裏があります。本連載では、今後こうして騙されちゃった人々の顛末についても語ります。
<TEXT/のらえもん>