パーク24、駐車場だけじゃない意外なビジネス戦略
海外事業の赤字は「微々たるもの」
この動きは、セグメント別利益額推移を見ても裏付けが取れます。
2006~2019年の間、全セグメントにおける利益額は増加し続けています。また、直近の海外事業セグメント(駐車場事業海外)で「販管費などがかさんで損失が出た」といっても、企業全体からすると微々たるもので、他の事業セグメントの利益で十分カバーできる範囲です。
2019年の実績を例にとると、
セグメント全体:354億2000万円
駐車場事業国内:273億円
駐車場事業海外:▲9億9200万円
モビリティ事業:91億1200万円
となっており、海外事業については、全体の2.8%程度の損失です。
国内の駐車場シェアは頭打ちになる?
しかも、同一年度内で相殺できています。この程度の下振れはこの企業体力でしたら十分カバーできます。したがって、一種の「必要経費」であると考えているのではないでしょうか。
パーク24の基本のビジネスモデルは「空き地や空き家など遊休地を土地所有者から借りて駐車場を展開」もので、日本国内での駐車場シェアが伸びるほど行き詰まる構造になっています(日本の国土が増える状況は考えにくいでしょう)。
だからこそ、まだ国内事業に余裕があるうちに「海外で、これから伸びそうな国に参入する」のは非常に妥当な判断です。
また、筆者の実体験を踏まえても、企業買収後の立ち上げ期には企業内統治がスムーズにいかず、直近数年間の販管費がかさみ、垂直立ち上げがうまくいかないのはよくあることです。むしろこの程度で収まっているのは非常に優秀であると思います。