千鳥が2019年ブレイクした3つの理由。Amazonの新番組も話題
霜降り明星が躍進した2019年。しかし、もっとも安定感のあったお笑い芸人と言えば千鳥のノブ(39)と大悟(39)ではないだろうか(以下、敬称略)。
これまでのレギュラー番組に加え、今年に入ってネットや地上波でいくつかの新番組もスタート。お笑い好きでなくても顔を知っている、まさに超売れっ子となった。
まったく問題がなかったかと言えばそうではない。大悟は、2016年、2017年と2度も週刊誌に不倫疑惑を報じられている。酒やタバコが大好きな芸風も、決して今の時代に合うとは言えないだろう。しかし、世間からのバッシングが膨れ上がることもなく、むしろ人気は高まっていった。彼らの魅力とは、一体どんなところにあるのだろうか? そこには3つの理由が考えられる。
屈託のなさが笑いを生む番組ロケの実力
千鳥の持ち味と言えば、なんと言っても番組ロケのうまさだろう。2012年に2人は東京に進出し、コント&トークバラエティ番組『ピカルの定理』(フジテレビ)のレギュラーメンバーになるも翌年に終了。2年の苦境を経て、『アメトーーク!』(テレビ朝日)で「帰ろか…千鳥」という回が放送されるほど人気は低迷していた。そんな窮地を救ったのが2014年にはじまったテレビ埼玉のロケ番組『いろはに千鳥』だった。
もともと大阪時代に「ロケの達人」と言われていた実力はダテではなく、埼玉県内の各地を歩きながら一般人に気さくに話しかけて笑いを起こす。番組スタッフに不満をぶつけつつ、のびのびとはしゃぎ回り、濃いキャラクターを見つければ嬉しそうにイジりながら笑いに変えていく。なによりもイジられる側が楽しそうだ。2人のやり取りには、学生時代の親友を思わせるような屈託のなさがあるからだろう。
2019年に入って、ロケ中心の番組『テレビ千鳥』(テレビ朝日)もスタート。いい意味で肩の力が抜けた彼らの笑いは、視聴者にも好評を博している。芸人としての余裕が表れ、さらに面白くなったと感じるのは私だけだろうか。
ツッコミの秀逸さと言葉の表現力
もうひとつ欠かせないのが、ノブのツッコミの秀逸さだ。漫才ではヤンチャさが漂う大悟をたしなめるような役回りだったが「クセがすごい」にスポットが当たったことで状況が一変した。「アメトーーク大賞 2016 流行語部門」で流行語大賞を受賞。翌年には、同番組で「イカ二貫」がノミネートしている。
言葉の表現力も際立っていると言えるだろう。「人でも殺めて(あやめて)きたんか!」「小栗が歩きよんか! 旬が」といった表情や状況を見事に捉えたツッコミに加えて、「大わき毛」などの「大○○」シリーズや、「ただのノブじゃ~!」などの「○○じゃ~!」シリーズといった言葉も次々と生み出している。
また、『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)にゲスト出演した際には、オードリー・若林正恭のイメージを「余命宣告されたミッドフィルダー」と表現。漫画『キャプテン翼』に登場する、心臓の弱いガラスのエース・三杉淳という名前をあえて口にせず、ニュアンスを含ませる。そのあたりにクレバーさとセンスのよさを感じずにはいられない。
もっともお笑いの手法として、物事を大げさに言うことは真新しいものではない。しかし、感覚的でありながら、ここまで想像の膨らむ言葉を放つ芸人がほかにいるだろうか。加えて、見ているこちらが思わず口にしたくなるフレーズということも、支持される大きな理由のひとつと言えるのではないだろうか。