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PayPayが独走するスマホ決済。行動ログから未来を予測

コラム

ポイント還元はあと半年、その後はどうなる?

 シンガポールの高速道路には、ゲートがありません。ERP(Electronic Road Pricing:日本のETC)導入にあたって法律でキャッシュレス決済を義務化し、人件費やゲートのメンテナンス費を一挙に削減したからです。

 かたやそうした法制度はなく、ATMや自販機が充実していて1万円札から1円玉まであらゆる金種の、信頼性の高い現金がほぼどこでも使える、そしてシニアが多い日本。

 アナログとデジタルの併存は最もコスト高で、ネットやスマホがそうであるように、享受する人としない人の二極化を深化させる可能性も否めません。PayPay祭りを号砲に政策のテコ入れでキャッシュレス決済が成熟期に突入したこの1年間、「デバイド」が進んでいないかと気になるところです。

 1日約11億円使われているというキャッシュレス・ポイント還元事業が2020年6月末で終了するまで、あと半年強。政府は次なる景気対策として、同9月を目処にマイナンバーカード保有者を対象にした25%程度のポイント還元制度「マイナポイント」を検討中です。普及率14%にとどまるものの60代以上だけが20%を超えるマイナンバーカードなら、スマホをもたないシニア層にもリーチできるかもしれませんが、次なるポイント政策は普及とキャッシュレス推進の決め手になるのでしょうか。

キャッシュレス

【図表】総務省「マイナポイント」を活用した消費活性化策について(検討の方向性)

 決済各社は還元政策終了後にもユーザーの「お財布」であり続けるための施策を打ち出してくると考えられます。ZHDなどビジネスメリットのある民間企業の営業力も借りつつ、シニアが絶対に使うであろうチャネルを設けるなど、官民あげた未利用ユーザーそして未対応店舗への普及が「キャッシュレス社会」実現の本質のように思います。

<TEXT/清水響子>

法政大学院イノベーション・マネジメント専攻MBA、WACA上級ウェブ解析士。CRMソフトのマーケティングや公共機関向けコンサルタント等を経て、現在は「データ流通市場の歩き方」やオープンデータ関連の活動を通じデータ流通の基盤整備、活性化を目指している

【調査・分析データについて】
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズが提供する、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用しました。データはヴァリューズ保有のAndroidスマートフォンモニター(20代以上)での出現率を基に、国内ネット人口に換算して推測しています。

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