業績好調のサイゼリヤだが、同業界で比較すると意外な事実が…
客単価アップに注力するロイヤルホスト
積極的な店舗拡大戦略をとっているサイゼリヤに対して、他社はどのような戦略をとっているのか検証してみます。各社の客数を横軸、客単価を縦軸に取った以下の図にまとめました(100を超えていると“前年同期間よりも増加している”と読み取ることができます)。
こちらは毎月の前年比指数について直近12か月を単純平均したデータですが、ロイヤルホストは直近12か月で昨年同期比で客単価が増加していることがわかります。その一方で、客単価増加の反動で客数は減少していると考えられます。
レストラン、ホテル…多角経営のロイヤルホスト
同じファミレス業界においても、攻めの姿勢を続けるサイゼリヤ、現状維持を続けるジョナサン&ガスト、客数を減らしてでも客単価を増加させているロイヤルホストと、各社の姿勢が異なっていることがわかります。
では、なぜこのような姿勢の違いが生じているのか、経営方針の意思決定を担う運営会社の視点から推察します。各社の特徴を見ると、それぞれの置かれている立場の明確な違いが浮かび上がってきます。
株式会社サイゼリヤは、主事業がサイゼリヤのチェーン展開であり、ファミレス事業に依存しています。
一方、株式会社すかいらーくホールディングスはファミレスのジョナサン、ガスト以外にも、しゃぶしゃぶや中華などのレストランを展開しています。
また、ロイヤルホストを展開するロイヤルホールディングス株式会社は、空港内・サービスエリア内のレストラン売店運営、機内食製造、リッチモンドホテルなど多様な事業展開を行っています。
サイゼリヤの事業拡大が不可欠なワケ
株式会社サイゼリヤは、会社存続のために、ファミレスへの追加投資と事業拡大が必要不可欠です。一方で、すかいらーくホールディンス、ロイヤルホールディングスは事業の幅があるため、ファミレス以外にも、成長性・収益性が高いレストランチェーンやその他事業に投資をすることができます。
実際、すかいらーくホールディングスの投資家向け情報には、より成長性の高い業態を拡大すると記載されています。そのため、ジョナサン、ガスト、ロイヤルホストは、積極的に攻めの姿勢をとらずに現状維持となっていると考えられます。
※各社有価証券報告書、決算説明資料、各種IR資料をもとに図版はすべて作成
※当記事に関連するいかなる損失(株式売買などにより生じる損失を含む)について筆者は一切責任を負いません。
<TEXT/小森ほうめい>