業績好調のサイゼリヤだが、同業界で比較すると意外な事実が…
1店舗あたりでは売上減のサイゼリヤ
売上高が増加傾向であり、他社と比較して一見うまく事業展開を行っているように見えるサイゼリヤですが、本当にそうなのでしょうか。
実は公開されている情報を組み合わせて1店舗あたり年間売上を計算すると(売上高合計÷店舗数)、1店舗あたり年間売上高は減少傾向にあることがわかります。変化を見える化するために、2014年度の1店舗あたり年間売上高を“100”として、推移を見てみます。
すると、ジョナサン、ガストは2014年度から2018年度までに1店舗あたり年間売上高が上昇していますが、サイゼリヤは3ポイント以上、下落していることがわかります。
1店舗あたりの売上高でもサイゼリヤが最下位
次に、1店舗あたりの1日の売上高を実額で見てみます。2018年度の1店舗1日あたり売上高が40万円超のロイヤルホスト、30万円超のジョナサン・ガストに対して、サイゼリヤは20万円台です。
すなわち、サイゼリヤはそもそも1店舗1日あたり売上高が他社よりも低い事業モデルであることがわかります。このようなビジネスモデルのサイゼリヤにとって、意図しない1店舗あたり売上高の下落は致命的な収益性の悪化につながりかねず、早急な対応を行うべき状況だと推測されます。
攻めのサイゼリヤ、耐えるジョナサンとガスト
次に、各社の店舗数の推移を見る前に、店舗数の推移が示す意味を説明します。ファミレスにおいて、店舗数の推移は、経営姿勢を直接的に表現する指標となります。
例えば、ファミレスチェーンの経営者が売上高・客単価の上昇を望んだとしても、これらは客の行動に左右されるため、直接的にコントロールすることできません。
一方で、新店舗のオープン数は経営者が直接意思決定を下し、コントロールできる指標です。すなわち、店舗数の推移を見ることで、当該ファミレス事業に対する経営者の意欲・姿勢を推測することができます。
では、実際に各社の店舗数推移を見てみます。
ジョナサン、ガストは店舗数が横ばいなのに対して、サイゼリヤは年平均成長率18%、年間50店舗前後の店舗増となっています。
これはすなわち、ジョナサンとガストを運営するすかいらーくホールディングスは、ファミレス事業は成長事業ではなく、現状維持を意識した事業と認識していることを示します。
一方で、サイゼリヤは新店舗への投資を行い、店舗拡大戦略を取ることで、事業の拡大を図りたい攻めの経営姿勢であると推測できます(ロイヤルホストはデータ該当なし)。