もう中学生が語る、ミュージカル『メリー・ポピンズ』に出演して見た景色
2000年代後半、段ボールでつくった自作の小道具を使用し、雑学などを交えたほのぼのとしたコントでブレイクしたお笑い芸人・もう中学生さん(36)。「ためになったね~」という甲高い声と愛嬌のある笑顔で、記憶がよみがえる方も多いのではないだろうか。
ネタ番組の終焉とともに徐々にテレビの世界では見かけなくなったが、昨年には世界的なミュージカル『メリー・ポピンズ』のキャストに抜擢されるなど、役者としても活躍している。
前編では、学生時代のエピソードや独自のコントスタイル誕生秘話などについて話を聞いた。今回はネタ番組が終了していった時期の心境、『メリー・ポピンズ』にまつわる裏話など、さらにパーソナルな部分を掘り下げていく――。
ネタ番組ブームの終焉に「どうなっちゃうんだろう」
――ネタ番組の全盛期、もう中学生さんは『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』などネタ番組を中心に活躍。当時はどんな心境で活動されていましたか?
もう中学生:もともと2007年頃までテレビの仕事がなくて、月に3、4回くらいライブに出る生活を送っていたから、番組に呼んでいただけることが嬉しかったですね。当時は、バラティ番組の司会、自分の冠番組とかコント番組とかをやりたいって考えていました。
――とはいえ、2010年には主なネタ番組が続々と終了。不安を感じませんでしたか?
もう中学生:「どうなっちゃうんだろう」っていう不安な気持ちも抱えつつ、「けど、自分が頑張るしかないよな」とも思っていた時期ですね。ただ、僕って自分が考えて動くことよりも、なにかのきっかけで変わることが多くて。
ある人から「顔が明るいのになんで暗いネタやるの?」って言われて、ネタを明るくしたらお客さんの反応がよくなったり、「あんまり人前に出たくないな」って時期があって、段ボールの後ろに隠れてネタをやったら「衣装着て髪型もセットしているのに、姿を隠すなんて斬新だ」みたいな評価につながったりとか。
だから、今から振り返っても「もっと頑張れたのかな」と思いつつ、後悔はないですね。無理しても、自分の本質は活かせないと思いますし。
「やっぱり吉本の環境に助けられてるな」
――現在、単独ライブをコンスタントに開催するなかで、役者としても活動されています。
もう中学生:2016年に乃木坂46さんがメインの『墓場、女子高生』に出演させていただいたのが初舞台。それまで僕は段ボールを使ったような偏ったお笑いをやっていて、「自分はなんにもできないな」と感じていた時期だったんです。そんなときにお話をいただいたので、二つ返事で出演を決めました。
その稽古や本番で「声通るね」とか、ありがたいことに演出家の方にも褒めていただいて。「やっぱり吉本の環境に助けられてるな」と改めて感じました。劇場で場数も踏めますし、楽屋での団体芸とか臨機応変なアドリブとか。ポンッと外に出たことで、自然とお笑いで鍛えられていたことに気づかされました。