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バドミントン世界選手権V2の桃田賢斗・25歳。それでも募らせる危機感とは

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 9月1日で25歳を迎えたバドミントン選手、桃田賢斗。スイス・バーゼルで行われていた世界選手権で2連覇を成し遂げたばかりであるバドミントン界の「絶対王者」は、偉業を達成したばかりでも、危機感を募らせていた。

 圧倒的な強さを見せつけた今大会を終え、周囲の期待は膨らむなか、来年の東京五輪へ向け、更なるレベルアップを期す。そんな桃田選手が見せた進化と、2連覇を達成した強さの秘訣とは何か――。

相手のペースから一気に主導権を取り返す

 見返してみると、序盤は決して思い通りの展開ではなかったかもしれない。8月26日の世界選手権、アンダース・アントンセンとの決勝、いきなり3点を奪われる。さらにリードを広げられ、ときどき表情を曇らせる場面もみられ、ショットが思い通りに打てていないことが伝わってきていた。

 しかし2-6となった後から8ポイントをたて続けに奪い、一気に逆転。自信を取り戻したかのように試合をコントロールしていった。主導権を掴んだ後は相手を圧倒、1セット目21-9、2セット目は21-3と大差でゲームを締め括っている。

 最後のポイントは相手の対角線へのショットに対し、目の覚めるような速さでコートに飛び込むようなレシーブ。最後まで動きのキレは衰えることはなかった。シャトルが相手コートに落ち、自らの最後のポイントになったことを確認すると、何度も両手でコートを叩き、そして無邪気な笑顔を見せていた。

 大会を終え、1回戦から決勝までの6試合、すべてストレート勝ちであったことについて「第1シードで、相手が向かってくる中、全試合をストレートで勝てた」「今のスタイルではまた、勝てなくなってしまう。スピード、パワー、全ての面でレベルアップしないと」と語り、喜びを表現しながらも更なる高みを目指す姿勢を示した。

1年前とはスタイルを変えての連覇

 昨年、初めての世界王者となった中国での世界選手権では決勝戦の試合後のコメントでは「(相手選手の)上からのショットを取ってプレッシャーをかけることができた。今日は自分のディフェンスが良かった」と、守りを強化したうえで掴んだ頂点であると語っていた。

 だが、今回、意識したのはスピード。昨年の大会以降、磨いたという動きの速さ、そして、ひと試合の試合運びにも表れていた。コート全体を刻む足のステップやスマッシュを放つ際の腕の振りは、他選手よりも明らかに迫力が上回っているように感じられ、さらに決勝まで1セットも落とさず、失点も少なかった(平均10.8点)。これにより決勝ではスタミナの差で圧倒する内容だった。

 この2大会での戦い方の違いもフィジカル、そしてメンタルとも大きな進化をみせる桃田の強みが表れている。

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