カツラを忘れた課長を見て…若手のヒトコトに職場が凍りつく
多くの企業で導入されているクールビズ。夏の暑さを乗り切る大事な制度ですが、なかには普段のかっちりしたビジネススーツから半袖、ジャケットなどラフな格好になったことが原因で、つい気が緩んでしまう人もいるようです。
「まだクールビズという言葉が出始めた頃のことですが、職場の伝説のひとつとして語られています」
とある若手社員が、クールビズの時期にしてしまった“ある発言”。当時をそう言って振り返るのは、IT企業の総務課の木村晃司さん(仮名・28歳)です。きっかけはクールビズを楽しみすぎた課長が起こした“うっかり事件”でした。
カリスマ課長が隠していた秘密
「2005年からスタートしたクールビズは、デスクトップやパソコン周辺機器が多いうちの会社にとって、歓迎すべき職場の環境対策でした。特にパソコンが多くて室温が高くなってしまう部署だったため、全社一丸となって、クールビズを推進してきました」
これまでのスーツやネクタイから、ネクタイなしの半そでに変わっただけでも、社員は大喜びだったそうです。
「クールビズが社会的にも浸透してきた数年後、毎年のようにクールビズスタイルで会社に通勤していたのですが、ある日、『別の部署にいる50代課長の様子が何やらおかしい。メールでは言えないからすぐ来てほしい』と、総務にメールがあったのです」
ここは社員300人ぐらいの小さな会社。くだんの課長は、20年前からいる創業メンバーで、社長を支える重要なポジションに就いていました。
「部署全体を引っ張っていくカリスマ性にも溢れ、尊敬する部下も多かったと聞きます。さっそく様子を見に行ったところ、すぐに課長がカツラを忘れていることに気づいたのです」
「今日は、アタマもクールビズっすね」
課長のカツラの件は周知の事実でしたが、その日はなんと、つけ忘れてきたようでした。出社してから初めてそのことに気づいた様子の課長は開き直っていましたが、周囲も指摘することができず、そわそわしていました。
「カツラをつけていない課長は、両方のサイドがちょこちょこっと生えていて、頭は完全なるバーコード。威厳も何もありませんでした。誰もが腫れ物に触るように課長を気遣いながら仕事をしていました」
そのとき、入社3年目の鈴木くん(仮名)が、流行の「クールビズ」という言葉を使いたかったのか、場を和ませたかったのか、「課長! おはようございます! 今日は、アタマもクールビズっすね」と、その場にいた全員がドン引きするようなことを口にしたのです。
天然の鈴木くんは屈託ない様子で、自ら「アタマもクールビズ」とウケていましたが、周りが一瞬で凍りついたのは言うまでもありません。