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「人脈」という言葉が持つ“そこはかとない気持ち悪さ”の正体

学び

 こんにちは、戦略コンサルタントのShinです。今日のテーマは「“人脈”という言葉を改めて考えてみよう」です。

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※画像はイメージです(以下、同じ)

 人気芸人であるカラテカの入江慎也氏が、大規模振り込め詐欺グループの忘年会に知り合いのタレントを仲介し、所属先のよしもとクリエイティブ・エージェンシーを解雇されるという騒動がありました。入江氏は、非常に人づきあいがうまく、人脈が豊富として有名です。もしかしたら、「人脈」という武器に溺れてしまい、その結果として足をすくわれてしまったのかもしれません。

 ビジネスのコンテクストでも「人脈」という言葉は多用されます。「最終的には人脈がモノを言う」「とりあえず人脈を作っておくといいよ」など個人的にはこの言葉は好きになれず、ほとんど使わないのですが、改めて意味合いや向き合い方について考えてみます。

「人脈」とは何のためにあるものか

 人脈とは何か、定義から確認してみましょう。辞書で引いてみると「ある集団・組織の中などで、主義・主張や利害などによる、人と人とのつながり。」(コトバンク)とのことです。もう少しわかりやすく言い換えると、意見が近かったり、利害が一致している人との関係、という感じでしょうか。

 今までこの言葉に嫌悪感を持っていた理由がわかりました。「“人脈”という言葉を使う=人との関係を利害関係で考えている」ということです。

「この人と付き合うと自分にとって得だな」「こいつと関わっても、たいしていいことないから連絡来ても無視しようかな」という感じの付き合いですね。こんなことを思っている人と付き合いたいかと言われると、ぼくはちょっと嫌です。

人脈という言葉がビジネスシーンで多用される理由

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 ただ、この言葉がよく使われる背景もわからなくはないです。ビジネスの目的は「利益を得ること」なので、それを得たいがために「人とのつながり=人脈」を求めるというのは、自然と言えば自然です。ぼくの周りにも、営業成績をあげるために人脈作りに奔走する人は、ちょいちょいいます。

 そういう人はエネルギッシュにお客さんと関係を持ちますし、新たな人脈構築のためにセミナーや勉強会への参加意欲も旺盛です。じゃあ、そういう人が、本当に良い営業成績をあげているかというと、そうでもありません。短期的には良くても、長期的に見ると、苦しんでいるケースも多いです。

 ビジネスの目的は利益を得ることで、そのために人とのつながりを作る。この論理構造は一見パーフェクトに見えるのにもかかわらず、なぜそこはかとない気持ち悪さがあるのでしょうか。

 こういう考えを持っている人が、長期的に結果を残しつづけられないのはなぜなのでしょうか。

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